教育フォーカス

【特集14】「問いのデザイン」でアクティブ・ラーニングの「種」を育てる

【導入編:2】実践 [2/3]

問いのデザインの考え方を学ぶ

塩瀬准教授がファシリテーターとなり、ワークを行います。

(1)自分の理想の「まなび」を改めて考えましょう「まなぶ」の反対語と類義語を考えることを通して、教員として生徒たちにどう学んでほしいのかを改めて考えます。

  • 1:A4判用紙を横にして、真ん中に「まなぶ」と書いてください。
  • 2:左側に「まなぶ」の反対語を3つ書いてください。
  • 3:右側に「まなぶ」の類義語を3つ書いてください。
  • 4:席が前後2列で4人1組になり、「まなぶ」の反対語と類義語を共有しましょう。
  • 5:グループで、理想的な「まなぶ」の類義語を一つあげて、スケッチブックに書いてみましょう。
  • 6:理想の類義語を近くのグループで共有し、説明し合ってみましょう。
 

(2)議論のしやすい問いの出し方を考えてみましょう教員はいつも授業で発問をしていますが、それをさらに論理的に捉え直し、深めていきます。

  • 1:佐藤研究員の講演「今、なぜアクティブ・ラーニングが求められているのか」の内容を基に、問いかけ方を例示していきます。
  • 2:なぜ、アクティブ・ラーニングに対応する必要があるのでしょうか。その理由は、「社会からの要請だから?」、あるいは「生徒の要請だから?」。先ほどのグループで話し合ってみてください。どちらか一つを選んで、その理由も述べてください。
  • 3:21世紀型能力には、基礎力、思考力、実践力の三層構造で、10の要素がありました。今の授業で育成できていない、授業で育成しようと考えたこともないという能力を、スケッチブックに書き出してください。
  • 4:スケッチブックに書き出した能力の中で、今後5年間で子どもたちに育てていきたいと思う能力を一つだけ挙げてください。
  • 5:皆さんが挙げた能力をグループで共有しましょう。もう一つ、議論を活性化させる方法として、情報の偏りを活用した例を紹介しました(内容は4ページ図3参照)。

(3)問いの文章のつくり方を学びましょう問いは構造化してつくることで、より考えやすくなります。それを実際に体験します。

  • 1:これから質問を出します。グループでファシリテーターを1人決め、その人が他のメンバーに問いかけ、メンバーはそれに答えてください。質問ごとにファシリテーターは、時計回りに交代してください。
  • 2:一つめの質問は、「あなたは、今日、朝ご飯に何を食べてきましたか?」
  • 3:二つめの質問は、「朝ご飯で必ずこだわっていることは何かありますか?」
  • 4:三つめの質問は「今月食べた朝ご飯の中で、最も美味しかった朝ご飯は何ですか?」
  • 5:四つめの質問は「あなたが考える豊かな朝ご飯とはどのようなものですか?」

このように、誰に何を問うのかを考え、問いを構成する制約や構造を検討することで、より答えやすい、より考えを深めやすい問いをつくることができます(3ページ図2参照)。

 

(4)【実践】「生徒が考え出す問い」と「生徒が黙り込む問い」をつくってみましょう

これまでのワークで行ってきた内容を生かして、「よい問い」をつくります。問いかける例だけでなく、問いかけられる側にとっても「よい問い」なのかを確かめるために、他のグループと質問し合います。よい問いは、問いのプロトタイピング(試作)をたくさんする中から見つかります。小さな問いを何度もつくりなおしていくと、その中からよい問いができてきます。たくさんチャレンジするために、このワークを取り入れています。

  • 1:これからわるい問いの例をお見せします。それを基にして、学校の先生を対象にアクティブ・ラーニングの研修をする講師になったつもりで、「よい問い」と「わるい問い」を考えてください。まずは個人でつくってみましょう。
  • 2:グループで見せ合い、「よい問い」「わるい問い」「その中間の問い」の三つに絞り込んでください。
  • 3:グループで決めた「よい問い」と「わるい問い」を隣のグループと質問し合いましょう。その際、相手の反応をよく観察してください。それによって、本当に「よい問い」か「わるい問い」かが分かります。

 
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