教育フォーカス

 

【特集15】アクティブ・ラーニングを活用した指導と評価研究
 ~授業レポート~

[第1回] 批判的思考力を育む~玉川学園高等部 国語科と理科で創出した「理系現代文」の実践  [4/6]

2.授業の様子

個々に思考して自分の考えを持つことからスタート

続いて、「理系現代文」の文章読解の授業の流れを具体的に紹介する。
 この日の授業は、天文学者、物理学者、数学者、生物学者の思考法の違いを、列車の窓の外にいるヒツジを見た時のそれぞれのジョークを紹介しながら説明している課題文を読み、4つの問いを考えるものだ。

ワークシートでは、物理学者、数学者、生物学者の発言を空欄とし、それぞれを問1~3として、前後の文章の流れから、ふさわしい言葉を考えるという問いを設けた。さらに、問4として、課題文に関連して自分の意見を述べる問いを出題した。

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ワークシート(ベネッセ教育総合研究所により一部改訂)

※画像をクリックするとPDFが別ページで開きます 

授業は、小林慎一先生、小林香奈子先生、島津先生の3人のチーム・ティーチングで行うが、説明担当、机間巡視担当などの役割は決めず、臨機応変に生徒に対応する。

机間巡視をしながら生徒の様子を観察

机間巡視をしながら生徒の様子を観察 

授業の冒頭10分間で漢字テストをした後、まず、理科の小林慎一先生が題材の概要と授業のねらいを説明し、国語科の小林香奈子先生が今日の授業の流れを板書しながら伝えた。そして、生徒が個々にワークシートの課題文を読み、問1~3に取り組んだ。その間、小林香奈子先生は、「問2と問4は採点します」と声をかけて、評価のポイントを明確にし、小林慎一先生は、生徒の様子を見ながら、思考を促すヒントとなる小話を紹介したプリントを配布。国語科の島津遼先生は、説明を生徒が把握できているか、机間巡視をしながら確認した小林慎一先生は、次のように話す。

「今日のテキストは、前年度には扱っていない内容だったので、テキストを選んだ私が概要を説明し、補足のプリントも用意しました。ほかの授業では、内容によって、国語科の2人が説明することもあります」

3人の教員は、生徒が個々に問題に取り組む間に、3人の教員は、生徒の思考の進み具合の確認や、解答の状況のチェックなどを行う。島津先生はその指導の観点を説明する。

「できる限り、独力で考えて書かせることを目指していますが、思考が止まっていると見られる生徒にはヒントを多めに出すなどして、思考のスイッチを入れるように支援します。逆に、答えが書けている生徒には、その考えを揺さぶるような問いかけをして、しっかり根拠のある解答なのかを確かめることもあります」

 
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