教育フォーカス

 

【特集15】アクティブ・ラーニングを活用した指導と評価研究
 ~授業レポート~

[第4回] 独自ワークシートの「問い」と教科書で、クリティカル・シンキングを育む ~安田学園安田女子中学高等学校の「SS科学言語」の実践  [4/4]

3.生徒の成長と今後の展望

メタ認知能力を高めて、自分で行動する力を育みたい

生徒同士の対話を取り入れた授業では、普段、現代文がそれほど得意ではない生徒も深く考えている様子が見られると、教誓先生は言う。「共通構造を見いだしたり、問題構造をつかんだりする活動は、学校設定科目『SS総合』(科学と生命、科学と倫理に焦点を当てた科目)でも行っています。そこでの学びが活用できていたのだと思います」

思考力テストの結果では、SSHクラスの方が普通クラスよりもCTの伸びが大きく、経年変化でも伸びているという。「独自教材づくりは、今後も続けなければなりませんが、教科書中心の授業でも、問いを工夫することによって、CTは十分に伸びると実感しています」と、岸田先生は説明する。

一方で、全体的にメタ認知の力が弱いことが課題だという。

「例えば、課題研究のリポートを見ると、自身の研究を客観的に見て、何をどう修正すればよいのかを考えるといった視点が薄いと感じています。メタ認知をし自律的に活動を進める力は、普段の家庭学習や、自身の進路決定の際にも求められるものです。これは学校全体の課題だと、教員間で共通認識を持っています」(岸田先生)

以前は、生徒にすべきことの指示をする指導が中心だったが、今は、中学校でも高校でも、生徒に「なんでそうなるのか?」というように問いかけ、生徒自身に振り返らせる教員が増えているという。

「生徒が自分で考え、対話を通して思考を深めていく授業を経験すると、生徒も教員も講義形式の授業だけでは物足りなさを感じるようになります。本学園では、中学校でもCTを取り入れて、授業や生徒指導の場面で、生徒が深く考えられるような活動を取り入れつつあります。ただ、CTはすぐに身につくものではありません。中高で継続しながら、生徒の将来を見据えて育んでいきたいと思います」(岸田先生)

安田学園安田女子中学高等学校の「SS科学言語」の実践の取り組みは、研究レポートとして、ベネッセ教育総合研究所「アクティブ・ラーニングを活用した指導と評価研究/調査・研究データ」でもご報告していきます。

こちらもご参考いただき,今後の授業づくりの参考に、ぜひご覧ください。


 

Topへ戻る

 【特集15】 一覧へ