教育フォーカス

 

【特集16】新課程における新しい学びとは

[第1回] 未来を生きる子どもたちのために、学校教育に求められるものは何か  [4/4]


. 教科の見方・考え方を育むには、どのように学習に取り組めば
  よいのでしょうか?

A. 知識を相互に関係づけたり、吟味したりすることを繰り返し行い、
 「意味形成」することが重要です

知識を相互に関連づけたり、吟味したり、批判したりといったことを何度も繰り返すと、表面的には異なることでも、類似点や共通点・差異点が見えてきます。それが物事を捉えるポイントだと分かると、知識を構造的・統合的に捉えられるようになり、見方・考え方が身についてきます。

概念を形成し、本質的な問いの意味が分かるようになるには、かなり細かい知識を膨大に使って考えないと、形成されません。しっかり考えて、問いを持ち、さらにその答えを考えて、「なるほど、そうか」と納得できるから、見方・考え方という枠組みが自分の中に残っていくのです。こうした「意味を形成する」作業が大切なのです。それをしないで単に覚えようとするから、すぐに忘れてしまうし、何も残らない。「なるほど」と思えれば、学びは楽しく、面白いものになります。

そのためには、教える側がそれを認識していないと絶対に伝わりません。授業の中で「この間もやったよね」「この間学んだことを使えばいいんだよね」などの気づきを与える促しも必要でしょう。

見方・考え方は、まさに考えることでしか育ちません。そのために、アクティブ・ラーニングを取り入れていくことが必要なのです。


 メッセージ   学校の学びが、子どもの一生涯を支えるものになるように

人は生まれた瞬間から学習をしており、生きていく知恵を経験的に身につけていきます。生活の中で問題にぶつかり、それを解決することで、資質・能力を獲得します。それこそが学習です。それが、小学校に入ると、いきなり学習の中心が知識の習得となり、知識中心の学習で進んでいきます。ところが、社会に出ると、再び資質・能力が重要だということになってしまう。今まではこうしたねじれが生じていました。

今回の教育改革で、学校教育も資質・能力を育成するものとなれば、生まれてから一貫して、同じ方法で学習を通せるようになります。それは、子どもにとって幸福なことです。子どもたちが社会で生きる力を自然に学んでいく教育をできる、またとない好機と言えます。

もちろん、これまで続けてきた教育を一度にがらりと変えることは難しいでしょう。これから10年、20年をかけて浸透、定着させていき、学校教育を子どもの一生涯を支える力を育むものとしていただきたいと思います。



第2回「世界のコンピテンシー育成の流れから見た日本の強みと示唆」(東京大学大学院教育学研究科教授 秋田喜代美先生)

※ベネッセ教育総合研究所では、これから求められる資質・能力とその指導・評価に関する研究を行っています。 【アクティブ・ラーニングを活用した指導と評価研究】


Topへ戻る

 

 【特集16】 一覧へ