教育フォーカス

 

【特集16】新課程における新しい学びとは

[第2回] 世界のコンピテンシー育成の流れから見た
             日本の強みと示唆  [1/4]

秋田 喜代美先生

秋田 喜代美 ● あきた きよみ

東京大学大学院教育学研究科教授
WALS(世界授業研究学会)副会長。内閣府子ども・子育て会議委員。厚生労働省社会保障審議会委員。専門は、教育心理学、授業研究、保育学、教師教育。共著に、『岩波講座 教育 変革への展望第1?7巻』(岩波書店)、『学校教育と学習の心理学』(岩波書店)、『カリキュラム・イノベーション』(東京大学出版会)など。

コンピテンシー重視の教育に向けた改革を進めているのは、日本だけではありません。多くの先進諸国が、グローバル化、IT化、少子高齢化などの課題を抱えており、自国の事情や将来展望の下に教育改革を進めています。日本は、従来の教育の強みを生かしながら、今後の教育を、そして授業をどう築いていくべきなのでしょうか。OECD日本イノベーション教育ネットワーク研究統括を務め、欧米諸国の教育動向を踏まえながら、日本における教育のあり方を幼児教育から高等教育まで幅広く研究されている、東京大学の秋田喜代美教授にお話をうかがいました。

※「コンピテンシー」とは、単なる知識や技能だけでなく、様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な要求(課題)に対応することができる能力(大学評価・学位授与機構定義)

. 世界の教育は、現在どのような潮流にあるのでしょうか?

A. 「コンテンツとコンピテンシーの統合」という考え方が主流になりつつ
  あります

日本を含む先進諸国は、どの国も同じ方向で教育改革に取り組み、育成したいコンピテンシーにも多くの共通性があります。様々な動きがありながらも、時代はグローバル化やネットワーク化、技術革新も急速に進展しています。今の子どもが大人になる頃には、現在とは全く異なる環境があり、学ぶべき内容も大きく変わっていることでしょう。

そうした時代を生きる子どもたちには、変化にしなやかに適応し、創造的に対処し、多様な価値観を持つ人々とうまく関係を築く力を育てる必要があります。OECDが推進するEducation2030事業では、従来の教科の内容であるコンテンツをベースとした教育だけではなく、教科横断的な学びを通して、いわゆる非認知的能力を含む汎用的能力を高め、様々な状況に対応する資質・能力をつけることを目指しています。

これに関して、以前は「コンテンツからコンピテンシーへ」という言い方がされましたが、現在は「コンテンツとコンピテンシーの統合」という考え方が一般的になっています。依然として教科の内容が重要であることには変わりはないからです。

ただし、これからの教育で重視されるコンテンツは、個別的・断片的な知識ではありません。各教科で重要とされる概念や原理などの内容を深く学んでいくことを重視しており、文部科学省が示している「主体的・対話的で深い学び」の「深い学び」につながる考え方となっています。こうしたコンテンツを探究的に学ぶ中で、コンピテンシーは着実に培われていくのです。

 

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