教育フォーカス

【特集8】「一人一台環境における学びの自立を支援する学習モデルの検討」研究より

[第2回] タブレットを用いて家庭学習の内容をクラス内で共有し、自学の変容を促す─実践編  [4/6]

◎ タブレットで子どもの成長を見通していく

ほかの子どもに学習の様子を見られることによって、萎縮してしまう子どもなどはいないのでしょうか。

菊池:確かに、「何番は今日はやっていない」と他の子どもからチェックが入ることがよくありました。また、アップロードを休みがちな子どもには、個別に声をかけました。

自主学習をオープンにしたことで、そうしたデメリットはありましたが、それは普段の宿題でも起きていることで、やっていない子どもの存在は、子どもたちにとっては顕在化しています。むしろ、取り組む意欲が上がったり、学び合いが自然にできたりして、自主学習の幅が広がる、自分の課題を客観視できるといった変化がよく見える点に、メリットを感じました。

また、もう一つ、メリットとして挙げておきたいのが、教科を問わず、どのような内容でも一つのタブレットにノートの画像を蓄積していくことができ、子どもの学びや成長の過程をトータルで見られることです。授業では教科によってノートが異なります。ですから、その成長も、教科ごとに見てしまいがちです。しかし、本来、子どもは総合的に育っていきます。今回の実践では、1台のタブレットで、1人の子どもの自主学習がどのように変化していったのかを見ることができます。最初はできなかったことができた、ここには気付けなかったけれども、別の場面では気付くことができた、もっと深く考えられるようになったなど、教科に関係なく、その子の成長やそのきっかけをトータルに追っていくことができます。

そうした記録はご家庭でもなかなかないはずです。今回は、タブレットを保護者に見ていただく機会はありませんでしたが、今後、見る段階を設けて、子どもの成長を感じて、褒める機会にできればと思っています。

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