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チャイルド・ケモ・ハウスでは、夏休みの間は一時退院をする子どもたちが多く、ハウスに残っている子どもたちは退屈だったり、元気をなくしている時期であったりする。そういう時期に、ハウスに残った子どもたちを何とか元気づけられないかと、落語家や芸人による特別講義を組むことにした。プログラムを考えたのはアートディレクターの於保氏だ。
「世の中には色々な仕事があるということを伝える授業がしたいと話し合っていて、ゼロから手作りで特別講義を考えました。その結果、今の子どもたちには馴染みの薄い落語家の方に話をしてもらったり、芸人の高橋マリオさんにカレーの味の実況を披露してもらったりしました。カレーの実況によって、言葉だけでどうやったら美味しさが伝わるのかを披露してもらったのです」
この特別講義は生徒たちから大好評だった。このことがきっかけで、チャイルド・ケモ・ハウスでは彼女自身が講師として参加する、月1回の遠隔授業がスタートした。
現在、すでに10回以上行われているこの遠隔授業は好評で、中には「病気になって、この授業が受けられて得をした」と言い出す生徒もいるというほどだ。
最初はチャイルド・ケモ・ハウスの子どもだけが参加していた於保氏の授業だったが、最近ではクチコミで評判をよび、遠くは北海道など県外の病院の院内学級にまで導入が広がっている。
次回後編では、医療施設をデザインの力で変えようと奮闘するひとりの女性にフォーカスして、未来の教育へのヒントを探す。
主な著書は「ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した」、「グーグルの進化」(青春出版)、「iPadショック」(日経BP)、「iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?」(アスペクト刊)など多数。
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