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「すべての病院にひとりのデザイナーを置くだけで、病院内の薄暗いイメージなど、多くのことを変えられると思います」
医療の世界をデザインでよりよくする「メディカル・デザイン」の分野を、日本でもっと広げていきたいというのが彼女の願いだ。 そのために遠隔授業の「はじまりのプロダクト」をはじめ、これまで行なってきたデザインで工夫した成果を、他の施設でもどんどん採用して欲しいと思っている。
「デザインはマネられてナンボだと思います」
もし、自分のデザインが他の病院や治療施設で役に立つ場面があるならば、アイデアを活用してもらい、その結果として「医療の世界での定番がつくれたら」と願っている。
チャイルド・ケモ・ハウスとの出合いで、ファッションデザイナーだった彼女自身の中でもシフトが起きたと言ってもいいのではないか。
「学び」というと「学校」や「塾」などの「教室」を思い浮かべる人が多い。こうした場所では、新しい視点や熱意、デザイン、テクノロジーで工夫することで、人員やコストの問題を解決してきた事例が増えており、これまでの連載でも紹介してきた。
しかし、これからは「学び」がいわゆる教室以外の場に、もっと進出していっていい時代。老若男女にかかわらず、考えようによっては朝起きてから夜寝るまで、1年365日の体験すべてに「学び」の要素がある。
小児がんの子どもたちが、長期間にわたって滞在することになる「チャイルド・ケモ・ハウス」の細部までデザインされた環境には、もしかしたら、そうした生活のすべてを「学び」にする上での重要なヒントが隠されているのかもしれない。
主な著書は「ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した」、「グーグルの進化」(青春出版)、「iPadショック」(日経BP)、「iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?」(アスペクト刊)など多数。
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