次世代育成研究室

小さな子どもと大震災

このたびの令和6年能登半島地震により、被害を受けられました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復旧を心よりお祈りいたします。


ベネッセ教育総合研究所次世代育成研究室は、東日本大震災の際にとくに小さな子どもをもつご家庭や、その周囲の方たちを少しでもサポートしたいと考え、情報を発信できる場を作りました。参考にしていただけましたら幸いです。

第2回 3.11 東日本大震災の影響 子育て調査

2012年1月に、0~6歳の未就学児をもつ母親3,138名(東北1,128名、首都圏971名、東北および首都圏以外の地域1,039名)を対象に、東日本大震災後の子どもの様子や子育ての状況、意識の変化について、インターネット調査を実施しました。主な調査結果は以下の通りです。

1.子どものストレスサインのひとつである「甘える様子が震災以前より増加した」と回答した母親は、東北45.7%、首都圏31.9%、東北及び首都圏以外の地域19.7%である。同時に、「自立や成長を感じる様子が震災以前より増加した」と回答した母親は、東北60.7%、首都圏62.9%、東北及び首都圏以外の地域46.8%である。

2.1年前の同時期と比較して、「子どもの屋外遊び(お散歩も含む)時間が減った」と回答した母親は、首都圏24.3%、東北42.0%、そのうち福島県74.4%である。

3.調査時点(2012年1月)で、震災以前と比較して「気分がふさぐこと」が「よくある」「時々ある」と回答した母親は、首都圏26.8%、東北45.6%、そのうち福島県51.5%である。

4.震災後の子育てにおける変化はいずれも東北が大きく、「大人同士が協力して、子どもたちに安心で安全な社会をつくりたいと思うようになった」89.1%、「放射線のことを心配して、食料品を選ぶようになった」73.6%、「新聞や雑誌、インターネットなどの情報をこまめにチェックするようになった」73.0%である。

5.「子どもを育てるのは楽しくて幸せなことだと思うこと」が「よくある」と回答した母親は、東北40.7%、首都圏35.6%、東北及び首都圏以外の地域32.3%である。

6.震災後の社会が「できていないのでもっとすべき」と思われている上位3項目は、「子どもの生活圏内における放射線の除染」東北80.7%、首都圏79.2%、東北及び首都圏以外の地域80.4%、「被ばくが心配な子どもに対する健康診断」東北79.8%、首都圏78.2%、東北及び首都圏以外の地域75.5%、「信頼できる情報の公表」東北75.4%、首都圏78.4%、東北及び首都圏以外の地域77.5%である。

7.東北で、震災直後から調査時点(2012年1月)までに、ストレスが軽減した母親の相談先として上位にあがるのは、「配偶者」95.0%、「自分または配偶者の親」87.3%、「子育てを通しての友人・知人(ママ友)」78.3%である。震災後利用したサービスで上位にあがるのは、「子ども向け、または親子で楽しめるイベント」38.4%、「子ども、または親子の集いの広場」32.2%である。

調査概要

名 称
「第2回 3.11東日本大震災の影響 子育て調査」
調査対象
0~6歳の未就学児をもつ母親
調査地域
東北:岩手県、宮城県、福島県
首都圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
首都圏及び東北以外の地域:北海道、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県
※東北は、第1回調査を実施していない
有効回答数
3,138サンプル
※首都圏、首都圏及び東北以外の地域については、第1回のサンプルに対し追跡調査を実施。
調査時期
2012年1月13日~16日
調査方法
インターネット調査
調査項目
震災後のお子さまの生活や様子、母親の子育て感情、生活の不安、信頼できる情報、これからの日本が力を入れるべきこと、周囲との関わりなど

※この調査結果のマスコミリリースは、こちらからご覧ください。
※この調査結果の詳細なレポートは、こちらからご覧ください。
※この調査結果の集計表は、こちらからご覧ください。

第1回 3.11 東日本大震災の影響 子育て調査

2011年5月に、0~5歳児をもつ母親3,096名(首都圏1,548名、首都圏及び東北以外の地域1,548名)を対象に、①東日本大震災直後 ②2か月超経過した調査時点での子育て行動や子どもの様子について、インターネット調査を実施しました。また、調査時点の子育て意識と、震災以前に実施した調査結果とを比較することで、震災後の変化を明らかにしました。主な調査結果は以下の通りです。

1.震災・原発事故に関して信頼できる情報は何かという問いに対し、もっとも多かった回答は「専門家の意見」だが、31.7%にとどまり、次いで「信頼できる情報はない」が29.4%である。

2.首都圏では子どもの屋外遊びを、震災直後は53.4%の母親が減らしていた。その理由について、73.8%が放射線の健康への影響が心配だったからと答えている。調査時点(2011年5月末)でも17.7% が依然として子どもの屋外遊びを控えている。

3.首都圏では、「子どもがわずらわしくていらいらしてしまうこと」が「よくある」「時々ある」と回答した母親は、調査時点(2011年5月末)は70.6%で震災前より16.8ポイント増加している。また、「子どもが将来うまく育っていくかどうか心配になること」は70.4%で震災前より10.0ポイント増加しており、母親の子育て時のいらいら・不安が増加していることがわかる。

4.首都圏の子どもには、ストレスサインのひとつである「甘える様子」が増えている。震災直後は、低年齢児(0~2歳)で31.9%に対し、高年齢児(3~5歳)では41.4%と、高年齢児のほうが多い。また、震災後2か月では低年齢児で30.8%、高年齢児で26.0%と、低年齢児が回復しにくい傾向にある。

5.父親の協力や地域とのつながりといった周囲の人とのコミュニケーションが多い母親の方が、それらが少ない母親よりも、子育て時のいらいら・不安が少ない。

調査概要

名 称
「3.11東日本大震災の影響 子育て調査」
調査対象
0~5歳児をもつ母親
調査地域
首都圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
首都圏及び東北以外の地域:北海道、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県
有効回答数
3,096サンプル
0歳児 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児 合計
首都圏 258 258 258 258 258 258 1,548
首都圏 及び
東北以外の地域
258 258 258 258 258 258 1,548
調査時期
2011年5月27日、28日
調査方法
インターネット調査
調査項目
東日本大震災後のお子さまの生活や様子、母親の子育て感情、子どもの将来への期待、生活の不安、情報源、これからの日本が力を入れるべきこと、周囲との関わりなど

※この調査結果のマスコミリリースは、こちらからご覧ください。
※この調査結果の詳細なレポートは、こちらからご覧ください。
※この調査結果の集計表は、こちらからご覧ください。

震災関連子育て情報提供リンク

≫【チャイルド・リサーチ・ネット 震災時の子どもの心のケア】

チャイルド・リサーチ・ネットは、ベネッセの支援のもとで運営されるインターネット上の「子ども学」(Child Science)の研究所です。震災にあたり、子ども達の心のケアにご尽力されている方々の参考になればと「震災時の子どもの心のケア」というコーナーを設置しました。

≫http://www.blog.crn.or.jp/mentalcare.html

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