次世代育成研究室

研究室トピックス

幼稚園・保育園への要望No.1は
「子どもに集団生活のルールを教えてほしい」
~就学前の子どもをもつ母親を対象にした調査結果から~

2017年12月11日 掲載
 ベネッセ教育総合研究所 次世代育成研究室

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幼稚園や保育園では秋の行事がひと段落し、入園前の子どもをもつ保護者のなかには、希望する園に願書や申込書を提出し、緊張しながら結果を待つ方も多いと思います。今回は、就学前の子どもをもつ母親が、わが子の通う幼稚園や保育園にどのような役割を期待しているのか、ベネッセ教育総合研究所が行った調査研究結果からみてみましょう。


はじめに、現在通っている園に対する、母親の要望を尋ねた結果をご紹介します(下図1)。最も多かったのが「集団生活のルールを教えてほしい」で、次いで「子どもに友だち付き合いが上手になるような働きかけをしてほしい」でした。幼稚園児・保育園児の母親の多くは、園生活を通して子どもの社会性が育つことを期待しており、この傾向は直近の10年間変わっていません。

【図1】 幼稚園・保育園への要望(就園状況別、経年比較)

Q 現在通っている幼稚園・保育園について、あなたは次のことをどう思いますか。

 

保育園児の母親については、「子どもが病気のときに預かってほしい」が10年間で50.0%から57.1%に7.1ポイント増加、「知的教育を増やしてほしい」が57.0%から63.2%へ6.2ポイント増加、「保育終了後におけいこ事をやってほしい」が35.7%から50.4%へ14.7ポイント増加しています。子どもが長時間過ごす保育園への要望が増加していると考えられます。                    

 

幼児が一緒に遊ぶ相手は「友だち」が減少して「母親」が増加
幼稚園・保育園が「友だちづくり」に果たす役割が大きくなっている


次に、1歳後半~6歳の子どもが平日、幼稚園や保育園以外で遊ぶことの多い相手を複数回答で尋ねた結果が下の図2です。この20年間で「友だち」が減少(56.1%→27.3%)し、「母親」が増加(55.1%→86.0%)したことがわかりました。

 

【図2】 平日、(幼稚園・保育園以外で)一緒に遊ぶ人(経年比較)

Q 平日、(幼稚園・保育園以外で)遊ぶ時は誰と一緒の場合が多いですか。

 

 

 

「友だち」が減っている背景には、降園時刻が遅い保育園児が増加したり、少子化により地域で遊べる子どもが少なくなったりしていることから、園以外で同年代の子どもと遊ぶ日常的な機会がなかなかつくれず、結果的に母親と過ごす時間が増えている面があると考えられます。「友だちづくり」に関しても、幼稚園や保育園の果たす役割がますます大きくなっていると言えるでしょう。 

次回は、幼稚園や保育園で子どもが経験することや、園とのかかわりを通じて保護者自身がどのくらい成長したと感じているかを調べた結果をご紹介します。
 

*幼児の生活の実態や保護者の子育て意識に関する調査結果の詳細を、こちらからご覧いただけます。ご活用ください。 

【「第5回 幼児の生活アンケート」調査概要】

調査対象:0 歳6 カ月~ 6 歳就学前の乳幼児をもつ保護者4,034名。本分析では、95年からの比較を可能にするため、1歳6カ月以上の幼児をもつ保護者の回答(3,466 名)のみを分析。
調査時期:2015 年2 ~ 3 月
調査地域:首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)調査方法:郵送法(自記式アンケートを郵送により配布・回収)調査項目:子どもの基本的な生活時間/習い事/メディアとの関わり/遊び/母親の教育観・子育て観/子どもの将来への期待/今、子育てで力を入れていること/母親の子育て意識/夫婦の家事・子育て分担/子育て支援など

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