研究会からの
メッセージ

大切にしたい3つのこと

親と子のメディア研究会
について

Society5.0の実現にむけてICT化が加速する現代において、小さな子どもの暮らしにも、デジタルメディアが欠かせないものとなりつつあります。「親と子のメディア研究会」は、小児科医の故小林登先生を初代委員長として、さまざまな領域の専門家が集まり、2005年に発足しました。子どもの成長・発達を踏まえ、安心・安全にさまざまなメディアを楽しむための工夫について検討しています。

1歳児までの特徴

親と子のメディア研究会委員長

汐見稔幸 先生

東京大学名誉教授・白梅学園大学学事顧問
専門は教育学、子どもの発達的人間学(教育人間学)、子ども学をベースにした育児学。

主な著書

『子どものサインが読めますか—子育て考現学』
(女子パウロ会)
『0~3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』
(主婦の友社)など

紙ヒコーキメッセージ

新しいメディアが生まれるたびに、我々は不安を持ち、さまざまな意見がでてきますが、やがて当たり前になってきます。メディアをどう使いこなせば、人間の文化が豊かになるのかの模索が始まっています。最初は問題が起こることもありますが、メディアと上手につきあえるようになった時に、人間の新しい可能性が開かれ、面白い時代になっていきます。新しいチャレンジをしている今、子どもとメディアの上手なつきあいかたを考えてほしいです。

1歳児までの特徴

榊原洋一 先生

小児科医
お茶の水女子大学名誉教授
チャイルド・リサーチ・ネット所長
専門は、小児科学、小児神経学、発達神経学、国際医療協力、育児学

主な著書

『最新図解発達障害の子どもたちをサポートする本』
(ナツメ社)
『子どもの発達障害誤診の危機』
(ポプラ社)

紙ヒコーキメッセージ

番組やプログラムなどのメディアは、子どもの発達にとって重要な影響があります。番組やプログラムなどの作り手は「どうしたら子どもにとってよいものを提供できるか」を第一にして、知恵を絞ってよいものを子どもに届けてください。おうちの方も、お子さまに合う番組やプログラムを選びさまざまな生活体験のひとつとして取り入れてあげてください。

1歳児までの特徴

菅原ますみ 先生

白百合女子大学教授・お茶の水女子大学名誉教授
専門は発達心理学、パーソナリティ心理学、発達精神病理学
国立精神・神経センター精神保健研究所、家族・地域研究室長などを歴任

主な著書

『子ども期の養育環境とQOL』
(金子書房)
『メディア環境と子どもの発達(子どもの健康を育むために)』
(学術会議叢書23)

紙ヒコーキメッセージ

子どもが映像などのメディアを通して得た経験は、実際の体験とクロスさせることでより鮮やかで印象深いものになり、実体験は、メディアを通した経験とクロスさせることで自由なイメージの世界へとその記憶が広がっていきます。
この双方向性が就学前の子どもにとっては重要です。
ぜひ、おうちの方は、一緒に楽しみながら、上手なメディアと実体験のコーディネイターになって、お子さまの体験をより豊かにしてあげてください。

1歳児までの特徴

沢井佳子 先生

チャイルド・ラボ所長。認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。専攻は心理学。幼児教育番組『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科研究員、静岡大学情報学部客員教授などを歴任。『こどもちゃれんじ』(ベネッセ)の「考える力」プログラム監修。『3さいの本』シリーズ(講談社)監修。幼児教育番組『しまじろうのわお!』(テレビ東京系列 /ハンブルグ・ワールドメディアフェスティバル2013教育部門大賞受賞、国際エミー賞キッズ2016ノミネート、アジアテレビ賞2019受賞)監修。日本こども成育協会理事。日本子ども学会常任理事。人工知能学会「コモンセンスと感情研究会」幹事。

紙ヒコーキメッセージ

1984年に幼児教育番組の心理学スタッフとなって以来、私は子どもの「考える力」をはぐくむ映像コンテンツの開発に携わってきました。
子どもが世界を見聞するための、安全な船を造ってきたのだと思います。
しかし、スマートフォンやタブレットPCが、幼児も乗れるサーフボードになると、幼児が1人で情報の大海へ、波乗りに出てしまうのが怖いのです。おうちの方には、水先案内人として、一緒に航海をしていただきたいと願っております。

1歳児までの特徴

©︎Motoko Endo

佐藤朝美 先生

愛知淑徳大学人間情報学部教授
専門は、教育工学、幼児教育、家族内コミュニケーション、学習環境デザイン。システムエンジニアと育児の経験を生かし、子どもを対象とした開発研究を行う。
構築したオンラインコミュニティ「親子de物語」で、第5回キッズデザイン賞を受賞。
子どもや親子、家族にとってのより良いメディア環境を構築する方法を模索。

紙ヒコーキメッセージ

子どもとデジタルメディアの関係性がますます問われる時代となりました。Society5.0に向けて、VR、AR、XRといった没入型メディアも登場し、家庭における新たなメディアとの接触も増え、保護者の役割が重要となってきます。単なる消費者で終わることなく、魅力やメリットを存分に享受しながら発達や学びに繋げるための方法、親子で上手く付き合いながら楽しく豊かなデジタルライフを実現していく方法、一緒に考えていきましょう。

1歳児までの特徴

河村智洋 先生

チャイルド・リサーチ・ネット外部研究員

主な著書

『ITと文明―サルからユビキタス社会へ』
(NTT出版)共著

紙ヒコーキメッセージ

メディアは、「使い方」によって、これまでにない新しい可能性をもたらしてくれます。そのためには本質に立ち戻って使い方を考える必要があります。これまでの常識の中で、生活を便利にしてくれるだけでなく、まったく新しい生活が生まれてくるかもしれません。そして、多様になるメディアとの接し方は、個々によって変わってくるはずです。まずは、楽しんで試行錯誤することが大切になるのではないでしょうか。