今回は「理想形」を描くところから議論します

当サイトでもご案内の通り、2014年2月1日(土)に実施が決まったTeachers’ cafe 第2回ワークショップ。今回より公募形式で募集を行いましたが、第1回にご参加いただいた先生からのご紹介などもいただき、約30名と、予想を上回るご応募を頂くことが出来ました。改めてお礼申し上げます。

さて、第2回の議論のテーマは「12年間で何をどのように教えるか? ~例えばテストや受験がなかったら~」(仮)としています。小中高の先生方が、学校種の壁を超え、より良い教育を議論し、オピニオンを発信する場として立ち上げたTeachers’ cafe。現状の課題からではなく、まず「理想形」を描くところから議論を始めてみるのが今回の狙いです。

ご参加予定の先生方からは、早速以下のような課題意識をいただきました。一部を抜粋してご紹介します。

現状では、私達のミッションの大きな部分を「生徒の進路保障」が占めている。もし入試がないとしたら、私達の存在意義はどこにあるのか。現在、その問いに対し自律的学習者の育成が私達の使命ではないかと考えている。小学校・中学校・高校それぞれの校種の教員がそれぞれのミッションを明確にし、(単なる連絡会で終わるのではなく)真の意味で共有することが必要だと痛感している。
(鹿児島県/高校/一般教諭)
12年間を通して「学びの動機付け」といった主体的な学びへの意欲の高揚、知的好奇心の高揚が必要であると考えます。学校として、与えられた学習指導要領の内容を受け身の姿勢で捉えるだけではなく、積極的に深めていく子どもの姿を具現化するために、各年齢で取り組んでいくことがあるはずです。その基本となるものは、キャリア教育とシティズンシップ教育であると考えます。より効果の上がる指導法について、意見交換を進めたいと期待しております。
(滋賀県/小学校/校長)

日本の子どもたちの学ぶ意欲の低さは、各種の国際的な調査でも指摘されていますが、この点に注目した意見は多数寄せられています。また、意欲の根底にある「自己肯定感」や、それを育てていく教師という仕事そのものについて議論したいという声も寄せられました。

教員経験年数の多い教員の経験則が、そのまま若手に継承されていくだけでは対応しきれないほど、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化してきているように思います。とりわけ、入学してくる子どもたちの自己肯定感が低くなってきているということを心配しています。自己肯定感、自尊感情について学校の果たす役割は、とても大きいと思います。「教」から「育」へと視点を広げて皆さんのお話しを聞かせていただきたいと思います。
(広島県/中学校/副校長・教頭)
「何をどのように教えるか」の前に、「教える」とはどういうことなのかという教育観について議論をしたい。「成長段階で学校や学びから遠ざかってしまった子どもに、いくら大切なことを伝えても、またいくら優れた最新のスキルを用いて教員が授業に臨んでも、教員側の信念や意図がなくては効果がないことを痛感する。教員が問われているのはそのようなスキルの基盤となる、教育観や人間観、哲学であり生徒にもダイレクトに伝わるものだと感じる。多忙な教育現場でそのような青臭い議論をする場もないのでぜひしたい。
(三重県/高校/一般教諭)

第1回WSの議論を、さらに深めたい先生も

一方、第2回目となる今回のワークショップには、第1回から引き続きご応募いただいた先生もいらっしゃいます。その先生方からは、前回の議論をさらに深めたいというご意見をいただいています。

前回は校種を超えて多くの先生方と交流することが出来、大いに刺激を受けたが、まだまだ議論し足りない思いを抱いたのも事実である。第2回はテーマがより具体的になり、小中高の接続のあり方はもちろん、「12年間というスパンで何をどう教えるのか」という長い射程で教育のあり方について考える絶好の機会なのでぜひ参加したい。小中一貫校や中高一貫校のメリット・デメリットや巷間で言われている「6-3-3」制に代わる「4-4-4」制や「5-4-3」制等の可能性や妥当性についても議論することで、子どもの発達段階等も考慮した議論が出来るのではないだろうか。自分自身の子育ての経験から、親の視点を取り入れて12年を見通した教育のあり方を考えてみたい。
(福井県/高校/副校長・教頭)
今回は、小・中・高の12年間で学びを培うための連携の具体的な取り組みを話し合いたいと思い、参加を希望しました。学習すべき内容は指導要領に示されています。しかし、身に付けるべき学び方については限定的にしか述べられていません。その部分を私たちが創意工夫することにより、小・中・高の12年間の学び方の系統が明らかになると考えます。小学校教員として、6年間における子どもの学び方の傾向を把握し、指導することは可能です。しかし、中学校や高校の学習内容は知っていても、目指すべき子ども像を捉えることは出来ません。各校種での取り組み等を12年間というスパンで並べると、重複部分・欠落部分が見え、発達段階にマッチした学び方が明らかになると考えています。中学・高校の目指すべき子ども像、子どもの学びを培うための学校での取り組み、そして、家庭との連携の在り方について話し合っていきたいです。
(北海道/小学校/教務主任)

また、第1回ワークショップでは、ベテランの先生方に多くお集まりいただきましたが、今回は若手の先生からも参加のご希望をいただいています。地域、立場、学校種を越えた多様な交流が、新たな発見や気付きの場になれば、事務局としても本当にうれしく思います。

自らの知見を広め、仕事の質を高めるために、このプログラムに応募した。中学校の現場でより良い仕事をするためには、小学校、高校の様子についても詳しく知るべきであると考えている。また、地元の先生方の取り組みを学ぶことは容易だが、他県の先生方の取り組みを学ぶことは容易ではない。その点でも、滅多に得ることの出来ない機会であり、多くの先生方との交流を通して、自らの成長に生かせるようにしたい。更に、このプログラムではさまざまな役職の先生方が参加する。自分とは違う役職の先生方との交流を通して、広い教育観を学ぶことが出来ると考えている。意欲的な先生方との交流を通して、自らに刺激を与えたい。そして、ここで得たことを地元に持ち帰り、同僚や後輩たちに広めていきたい。
(新潟県/中学校/一般教諭)

第1回のワークショップ終了後には、「まだ話し足りない!」というご感想も数多く頂き、先生方同士の交流も始まっているようです。さまざまなお立場の先生にとって充実した議論の場となるよう、事務局一同、プログラム作成に取り組んでいきます!