アセスメント研究開発室

資質能力測定研究について

設立経緯

資質能力測定研究の成り立ちは、東京大学大学院教育学研究科教育測定・カリキュラム開発(ベネッセコーポレーション)講座(2005~2007)に由来します。当時の活動を通じてアセスメントの重要性を認識し、研究を進めてきました。研究で得られた知見を広く発信いたします。

目的使命

教育とテスト・評価は、切り離せない関係にあります。資質能力測定研究は、現在と未来に目を向けたテスト・アセスメントのあり方を研究開発し、優れた教育の構築に貢献します。テスト・アセスメントの研究分野は次の5つに集約されます。

  1. 新たな教育課題に伴う、世界的な評価測定の潮流の探索
  2. 目指す能力や態度などの適切な測定方法の研究・開発
  3. 測定結果の統計的分析手法・最新のテスト理論の研究
  4. ICTを活用したテストの実施基盤の研究
  5. テスト等の測定結果を、教育の改善に活かす方法の研究

現在進みつつある教育改革は、2つの大きな課題を追いかけています。一つは、従来型の知識・技能の確実な習得をめざすこと。もう一つは、グローバルな知識基盤社会において、課題に主体的に取り組み、課題解決のために言語活動を通じて多様な他者と協働できる人材をいかに育成するかということです。

そのような人材には、課題発見・課題解決能力等のいわゆる汎用的な能力や、主体性・協働性といった態度・志向性が求められています。これらの能力や態度をどう育成し、どのような方法で測定・評価するかが今後の教育の重要な課題であり、現在検討されている大学入試・高大接続改革においても主要な論点となっています。

私たち資質能力測定研究では、こうした社会の動きに対応して、教育に役立つ学術的な調査・研究・開発とその成果の発信を行ってまいります。より学習効果のあがる教科別学力診断から、今後注目される汎用的能力や行動・態度の側面の実効性のある評価・測定方法に関する研究開発を通して、エビデンスに基づく情報提供やご提案をすることを目指します。

具体的研究領域と研究テーマ

  • これからの入試改革を見据えた汎用的能力測定や総合的評価方法の研究
  • 社会で学び続けるために必要な能力・態度の測定・評価方法の調査研究
  • 学習としてのアセスメント教材に関する研究開発
  • 項目反応理論(IRT)に関連する心理測定学的手法の研究開発
  • ベイズ統計学の理論や考え方の心理測定学への応用研究
  • 大規模アセスメントを安定的に実施するための「問題データベース」やCBT(Computer Based Testing)研究開発

顧問あいさつ

ベネッセ教育総合研究所
常任顧問/東京大学名誉教授渡部 洋

最近はテストの世界でもグローバリゼーションが著しく、日本国内だけで閉じたまま研究を行っていくことは難しい状況となっています。
またETS、ACER、Citoなどの海外の主要なテスト研究・開発機関は純粋な研究機関というよりは、そのほとんどが実際に大規模テストを作成・実施し、そこから得られたデータで教育政策への提言を活発に行っており、日本を含めたアジアの国々にもテスト事業を拡張しようと強い関心を抱いています。
そのような中で、諸外国に遅れることなくテストの評価や開発あるいは関連データの解析といった事業を行ない、それらの結果をまとめて知見を提供していくことは、現在様々な困難な課題を多くかかえている我が国の教育機関にとって、問題解決のための重要な情報源となるだけではなく、教育の質そのものに大きく影響していくものだと思います。
企業としての効率と合理性・大学並みの研究水準を維持し、国内外を問わず研究と実践の交流を通じてEvidence Based Educational Policiesの樹立に貢献することによって、少しでも日本の教育の水準向上に役立つことができれば幸いです。

常任顧問 渡部 洋(わたなべ・ひろし) 東京大学名誉教授

経歴

東京大学教育学研究科教育心理学専攻博士課程修了、アイオワ大学大学院Ph.D.、カリフォルニア大学リバーサイド校統計学部博士研究員、大学入試センター研究部助手、同助教授、東京大学教育学部助教授、同研究科教授、同大学評議員、同研究科長・学部長、同ベネッセコーポレーション寄付講座教授を経て、ベネッセ教育総合研究所常任顧問。

研究テーマ

カリキュラムフリーテストの開発とその関連データの解析

業績

渡部 洋 (1993)『心理学検査法入門』福村出版
渡部 洋 (1999)『ベイズ統計学入門』福村出版 など

加藤 健太郎(かとう・けんたろう) 主席研究員

経歴

東京大学大学院教育学研究科修士課程修了 修士(教育学)、ミネソタ大学統計学科修士課程修了 M.S.(統計学)、ミネソタ大学教育心理学科博士課程修了 Ph.D.(教育心理学)、Educational Testing Service研修生を経て、2009年よりベネッセ教育総合研究所研究員。 種々の教育アセスメントの設計・開発・データ分析に関わる。2018年より主席研究員。

研究テーマ

アセスメントの開発・運用において用いられる様々な統計的・数理的手法、特に項目反応理論に関連する心理測定学的手法の開発

業績

加藤健太郎 (2019). 項目反応理論 村上征勝(監修)文化情報学事典 (pp. 765-771) 勉誠出版
Kato, K. (2018). Estimation bias. In B. Frey (Ed.), The SAGE encyclopedia of educational research, measurement, and evaluation. Thousand Oaks, CA: Sage.
Kato, K. (2016). Measurement issues in large-scale educational assessment. The Annual Report of Educational Psychology in Japan, 55, 148-164.
加藤健太郎・山田剛史・川端一光 (2014). Rによる項目反応理論 オーム社
Kato, K., Moen, R. E., & Thurlow, M. L. (2009). Differentials of a state reading assessment: Item functioning, distractor functioning, and omission frequency for disability categories. Educational Measurement: Issues and Practice, 28(2), 28-40. など

社会的活動

日本行動計量学会 『Behaviormetrika』編集委員 (2014~)
日本行動計量学会 『行動計量学』編集委員(2019~)
日本テスト学会 『日本テスト学会誌』編集委員 (2015~)
日本教育心理学会 『教育心理学研究』編集委員 (2017~2019)
一橋大学社会学部 非常勤講師 (2010)
横浜国立大学教育人間科学部・大学院教育学研究科 非常勤講師 (2010~2015)
明治学院大学大学院心理学研究科 非常勤講師 (2012~2013, 2018~)
東京大学教育学部・大学院教育学研究科 非常勤講師 (2014~2016, 2018~)

桑田 一(くわた・はじめ) 主任研究員

経歴

福武書店(現ベネッセコーポレーション)入社後、企業・大学領域での新規事業商品開発、学力アセスメント商品の開発・運用担当、2005年東京大学大学院教育学研究課教育測定・カリキュラム開発(ベネッセコーポレーション)講座連携研究員等を経て、現職。

研究テーマ

大規模アセスメントを安定的に実施するための「問題データベース」やCBT(Computer Based Testing)開発研究

中島 功滋(なかじま・こうじ) 主任研究員

経歴

東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程満期退学。修士(学術)。東京工業大学21世紀COE技術補佐員、淑徳大学非常勤講師を経て、2007年ベネッセコーポレーション入社。コーパスデータの活用,eテスティング研究開発に関わる。2018年より主任研究員。

研究テーマ

言語データ分析手法の教育分野への適用,eテスティング,社会で学び続けるために必要な能力・態度の測定・評価方法

業績

中島 功滋(2011)「短答式記述答案の採点支援ツールの開発と評価」言語処理学会
第17回年次大会発表論文集, pp.611-614
中島 功滋(2010)「機械学習を利用した短答式記述答案の自動識別」日本教育工学会
第26回全国大会講演論文集, pp.639-640

須永 正巳(すなが・まさみ) 主任研究員

経歴

2003年ベネッセコーポレーション入社。各種アセスメント・教材の企画制作、2006年東京大学教養学部教養教育社会連携寄付研究部門受託研究員等を経て、現職。

研究テーマ

資質・能力の多面的・総合的評価に関する研究開発、思考力の評価に関する研究開発、論理的な表現力に関する研究開発

社会的活動

NPO法人「八王子つばめ塾」理事

村田 維沙(むらた・いさ) 研究員

経歴

東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士課程修了(学術)。同博士課程満期退学。2014年よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

ジェネリックスキルテストの開発研究

業績

村田維沙、堂下雄輝、野澤雄樹.短答式問題の採点に関する研究.日本テスト学会第15回大会(東北大学). 2017年8月.
岩崎久美子、下村英雄、柳澤文敬、伊藤素江、村田維沙、堀一輝(2016)『経験資本と学習――首都圏大学生949人の大規模調査結果』明石書店
Murata, I., & Muta, H. Educational Conditions and Student Outcomes in Indonesia. 55th Annual Conference of the Comparative & International Educational Society, Montreal. May 2011.
村田維沙・深町珠由・松本真作・西村公子. テキストの類似性に基づいた職業クラスター化の試み:テキストマイニングの適用可能性の検討. 日本テスト学会第8回大会(多摩大学). 2010年8月.
Murata, I., Ookubo, T., & Muta, H. The International Comparative Study of Relationship Between Activities Other than School Lessons and Mathematics Achievement: Using R-based programme for Nominal Categories Model. 27th International Congress of Applied Psychology, Melbourne. June 2010.

加藤 嘉浩(かとう・よしひろ) 研究員

経歴

電気通信大学大学院情報システム学研究科博士前期課程修了 修士(工学)、電気通信大学大学院情報システム学研究科博士後期課程修了 Ph.D.(工学)、2016年よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

統計的機械学習手法、自然言語処理技術を用いた採点支援、評価手法の開発。

業績

https://sites.google.com/view/katoyoshihiro/

張 寓杰(ちょう・ゆーじぇー) 研究員

経歴

東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻博士課程修了 博士(工学)。日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所インターン、首都大学東京大学教育センター特任助教、東邦大学理学部情報科学科博士研究員を経て、2017年10月よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

言語統計解析に基づく計算言語処理システムの開発、項目反応理論に関連する心理学的測定手法の応用

業績

張寓杰, 加藤健太郎, 寺井あすか, 中川正宣(2018). 名詞と動詞の組み合わせに基づく「語彙組み合わせ問題」の自動作問. 日本認知科学会第35回大会発表論文集, 544-550.
張寓杰, 寺井あすか,上西秀和,菊地賢一,中川正宣 (2017). 日本語における帰納的推論の計算モデルの拡張と検索システムへの応用. 日本認知科学会第34回大会発表論文集, 966-970.
Yujie Zhang, Kenichi Kikuchi, Asuka Terai, Luning Ruan, Masanori Nakagawa. (2016). A Computational Model of Inductive Reasoning Based on a Statistical Analysis of Japanese Corpora-An Examination of Similarity Functions. The Proceedings of 5th Annual International Conference on Cognitive and Behavioral Psychology (CBP2016), 78-80.
張寓杰, 董媛, 太蘭, 寺井あすか,中川正宣 (2014). 日本語と中国語における確率的言語知識構造の比較研究. 人間生活文化研究, No.24, 223-233.
張寓杰, 寺井あすか, 董媛, 王月, 中川正宣 (2013). 日本語と中国語における帰納的推論の比較研究―言語統計解析に基づく計算モデルを用いてー. 認知科学, No.20, Vol.4, 439-469.
Zhang Yujie, Asuka Terai, Masanori Nakagawa (2013). The Comparison of Inductive Reasoning under Risk Conditions between Chinese and Japanese Based on Computational Models: Toward the Application to CAE for Foreign Language. The Proceedings of International Conference on Educational Technologies 2013, 119-124. など

社会的活動

東洋大学社会学部社会心理学科 非常勤講師(2016~)

白砂 優希(しらすな・ゆうき) 研究員

経歴

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学、修士(教育学)。2018年よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

「非認知」的能力に関する研究開発

業績

白砂優希・柳岡開地・寺川達郎・大倉裕貴・高橋雄介・楠見孝 (2017). 産業用ロボットの外見と人代替可能性が印象評価に及ぼす影響. 日本心理学会第81回大会,久留米シティプラザ,9月22日.
Shirasuna, Y., Hiraoka, D., Ishiguro, S., Himichi, T., Yanaoka, K., & Kusumi, T. (2016). The effect of perspectives and time-intervals on evaluation of inconsistent behaviors. 31st International Congress of Psychology, Yokohama, Japan, July 29. など

澁谷 拓巳(しぶや・たくみ) 研究員

経歴

東北大学大学院教育学研究科修士課程 修了(教育学)。2019年よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

テスト理論に基づいたテスト・アセスメントの標準化、対応づけに関する研究。

業績

澁谷 拓巳・野澤 雄樹 (2019) 多段階反応データに対するIRTモデルの比較性能 日本テスト学会第17回大会発表論文抄録集, 44-47.
柴山 直・澁谷拓巳・板宮千尋 (2019). IRT observed scoreとIRT true scoreによる復元分布の精度比較 東北大学大学院教育学研究科研究年報 67(2), 91-111
柴山 直・佐藤喜一・熊谷龍一・澁谷拓巳・板宮千尋・江尻大亮 (2018), 経年変化分析調査との対応づけによる本体調査の年度間比較の試み 平成29年度文部科学省委託研究「学力調査を活用した専門的課題分析に関する調査研究 研究成果報告書」
澁谷拓巳・柴山 直 (2018). 学力テストのIRT垂直尺度化に適したサンプル数と尺度調整法の検討 日本テスト学会第17回大会発表論文抄録集, 94-95.
澁谷拓巳・柴山 直 (2018). 異なる学年で実施される学力テスト項目のIRT垂直尺度化 日本教育心理学会第60回総会発表論文集, 346.
板宮千尋・澁谷拓巳・柴山 直 (2018). IRT observed scoreによる復元得点分布産出プログラムの開発とその応用について 日本教育心理学会第60回総会発表論文集, 710.
澁谷拓巳・柴山 直 (2017). 学力の発達を追跡するためのIRT垂直尺度化について 日本教育心理学会第59回総会発表論文集, 751.

分寺 杏介(ぶんじ・きょうすけ) 研究員

経歴

東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)。2020年よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

回答時間を用いた評価・測定の方法開発、適応型テスト

業績

Bunji, K.& Okada, K. (2020). Joint modeling of the two-alternative multidimensional forced-choice personality measurement and its response time by a Thurstonian D-diffusion item response model. Behavior Research Methods.
Bunji, K.& Okada, K. (2019). Item response and response time model for personality assessment via linear ballistic accumulation. Japanese Journal of Statistics and Data Science. 2(1) 263-297.
分寺杏介 (2019). 制限時間のある適応型テストにおける項目選択アルゴリズムの比較検討. 日本テスト学会誌. 15(1) 1-20.
分寺杏介 (2016). 項目間分散を考慮した項目反応モデルの提案 : 小論文評定への応用. 行動計量学. 43(2) 181-195. など

社会的活動

東海大学文化社会学部 非常勤講師 (2019-)
慶應義塾大学総合政策学部 非常勤講師 (2018-2019)

渡邊 智也(わたなべ・ともや) 研究員

経歴

京都大学大学院教育学研究科修士課程修了 修士(教育学)。2020年よりベネッセ教育総合研究所研究員。

研究テーマ

テスト項目・教材の開発研究

業績

Watanabe, T. & Kusumi, T. (2019). The Effect of an Acting Experience in Drama on Social Cognitive Skills. Poster presented at 3rd International Convention of Psychological Science, Paris, France.
渡邊 智也・楠見 孝 (2018). 演劇体験が社会的能力に及ぼす影響 日本心理学会第82回大会(ポスター発表)
渡邊 智也・斎藤 有吾・紙本 明子・蓮行・岡本 真澄・松下 佳代 (2016). 高等学校における演劇的手法を用いたアクティブラーニングの効果の探索的検討(2)振り返りのためのワークシートのテキストマイニングから 日本教育工学会第32回全国大会(口頭発表)
渡邊 智也 (2019). 演劇活動を通してのアプローチ 日本心理学会第83回大会公募シンポジウム「非認知能力を高めるための新しい教育実践の開拓」(口頭発表)
渡邊 智也・武田 佳子 (2017). グループワークをともなうアクティブラーニングにおける評価について 第23回大学教育研究フォーラム 参加者企画セッション「アクティブラーニングの評価のフロンティア」(口頭発表)

社会的活動

関西大学 教学IRプロジェクト 非常勤スタッフ(データ分析補助)(2019~2020)

堀 一輝(ほり・かずき) 研究員

経歴

大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程修了、修士(人間科学)。バージニア工科大学統計学科修士課程修了、M.A. in Data Analysis and Applied Statistics。バージニア工科大学教育学部博士課程修了、Ph.D. in Educational Research and Evaluation。2021年9月より現職。

研究テーマ

心理統計学、教育測定学、統計的因果推論。特に経時データ解析法・パネルデータ解析法・事前事後テストデータ解析法の比較・開発、教育研究における効果測定・プログラム評価など。

業績

ResearchGate, ORCiD, Google Scholar

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