アセスメント・教材研究開発室

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2016年度「未来を拓く地方協奏プラットフォームHIRAKU」インターンシップ受け入れ報告

2017年05月12日 掲載
 主任研究員 加藤 健太郎

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キャリア教育 アセスメント研究開発

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 2016年度、ベネッセ教育総合研究所は、「未来を拓く地方協奏プラットフォーム」(HIRAKU;http://home.hiroshima-u.ac.jp/hiraku/)が提供する「長期インターンシッププログラム」に参加しました。

 HIRAKUでは、広島大学、山口大学、徳島大学が共同実施機関となり、中国・四国地方を中心とした国公私立大学、企業、公的機関等が産学官コンソーシアムを形成し、優秀な若手研究者(博士課程後期学生、ポストドクター、テニュアトラック研究者)の育成・確保を図るとともに、地域の課題解決やイノベーション創出による地方創生に寄与することを目指して様々なプログラムを提供しています。長期インターンシッププログラムは、特に「若手研究者が実際の企業や社会の課題解決に貢献しつつ、実践的な能力の養成とキャリアオプションの拡大を図ることを目的」として実施されています(同プログラムの募集要項より)。

 この度、HIRAKUから派遣されたインターン2名を、2017年1月25日~同3月24日にかけて、アセスメント研究開発室で受け入れました。お二人には、当研究室の担当者の指導・助言の下で、それぞれ項目反応理論のパラメータ推定プログラムの作成、アセスメントデータの分析という、高度な専門知識とスキルが要求される業務に取り組んでいただき、限られた期間の中で大きな成果を残していただきました。また、これらの主業務以外にも、アセスメント開発や教育全般に関する知見を広げてもらうことを目的として、心理・教育測定学に関するレクチャーを受けていただいたほか、当研究室で行っている研究を紹介するセミナーやベネッセ教育総合研究所の定例会議等にも参加していただきました。

 以下に、インターンのお二人の感想を掲載いたします。



 ■照喜名 歩さん(広島大学グローバルキャリアデザインセンター 特別研究員)

 私は宇宙物理学を専門とする研究員です。そんな私は研究を続けていく一方で、物理学をこれから学ぶ人、今学んでいる人の支援につながる活動に興味を持っていました。私自身がそのような活動に加わるなら、広い意味で教育支援にはどのような方法が展開されていて、私のどのような技術・能力が活かせるのかを実際の業務を通じて体験し見極める必要があると考え、本インターンシップを受けさせていただきました。

 私に課された業務内容は統計解析プログラムの開発でした。その業務と全体の関わりを見てみると、やはり社会学系の知識を要する考え方が多く、統計手法の適用判断や結果の考察は分野独特で注意が必要だと感じました。しかし、統計手法の考え方、コーディングの基礎等はこれまでの研究との共通点も多く、日々楽しく業務に取り組んでいました。また、業務だけでなくアセスメント研究開発室をはじめとするベネッセ教育総合研究所の皆さんのお話を色々お聞きすることで、教育に対して皆がいかに考えを巡らせているのかを広く知ることができ、大変勉強になりました。今後は本インターンシップで学んだ多くのことを糧とし、最適なキャリアプランの構築につなげていきたいと思っています。



 ■古川 善也さん(広島大学大学院教育学研究科 博士課程後期)

 私は現在、社会心理学を専門とする博士課程の学生をしています。あまり民間に出て行けるような分野でもないことから、将来的には大学教員となることを目指していたため、民間企業については元々あまり興味を持っていませんでした。しかし、この度、指導教官から話があり、春季休業の期間でもあったことから、これも一つの経験としてベネッセ教育総合研究所での長期インターンを受けさせて頂くことになりました。

 私の本インターンでの業務内容はテストデータの分析でした。データの分析自体は普段の研究活動でも行っており、それ自体には余り新規性はありませんでした。しかし、アセスメント研究開発室をはじめとしたベネッセ教育総合研究所の皆さんのお話を聞く中で大学と民間の違いを感じました。色々な点がありましたが、一つ挙げるとしたら、大学での研究の場合、興味ある内容の測定指標を開発してもその精度にまでは拘ることが少ないのに対して、民間での研究の場合は利益に繋がる商品としての価値を必要とするため、測定指標の精度の向上を重視していた点です。大学の研究者と民間の研究者での考え方や研究の進め方の違いを学ぶことが出来、自分にとってとても身になる経験をさせて頂くことが出来ました。



 アセスメント研究開発室にとっても、お二人と共に作業をしていく中で新しい気付きや発見があり、研究中の様々なテーマについて客観的な立場から意見をいただけたことは貴重な経験となりました。ベネッセ教育総合研究所では、今後もこのような機会を通じて、専門人材の育成に貢献していきたいと考えています。

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