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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

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研究員リポート
データからみる今と未来

第23回 小学校英語の課題―第1回小学校英語に関する基本調査の結果から

ベネッセ教育研究開発センター 沓澤糸 (2008/3/5更新)

 2008年2月15日、文部科学省より小・中学校の新学習指導要領案が公表され、20年来議論され続けてきた小学校での英語必修化が、「小5・6で週1時間」という枠組みで実現する運びとなった。文部科学省では共通教材の開発などを急ぎ、必修化への対応の準備を進めている。しかし一方で、全国の小学校における英語教育への取り組みは、その質・量ともに大きくばらついている実態が、ベネッセ教育研究開発センターが2006年7月〜8月、公立小学校教員を対象に行った「第1回小学校英語に関する基本調査(教員調査)」の結果から明らかになっている。3年後の2011年度から完全施行される小学校英語の姿と現状とのギャップから、小学校英語の今後の課題について考えてみたい。

小学校英語の現状〜高学年で「週1時間」は全体の2割程度

 はじめに授業時数の調査結果を見てみよう。図1は、必修化の対象学年である小学校5・6年生での英語教育の年間時数を尋ねた結果である。もっとも割合が多かったのは「5〜15時間未満」で、年間15時間未満、つまり月1回前後やそれ以下の学校が半数以上を占めた。一方で、必修化後と同じ週1時間、つまり年間時数「35時間」以上の割合は14.6%に過ぎず、多くの学校がこれから必修化に向けて、様々な準備を進めていかなければならない状況であることがわかる。

図1:小学校での英語教育の年間時数(高学年)

図1:小学校での英語教育の年間時数(高学年)
「学級担任中心」での指導は可能か?

 それでは、もっとも割合が多い年間時数「5〜15時間未満」の学校では、「誰が」英語教育を行っているのかを、図2で見てみよう。

図2:中心となる指導者(高学年/年間5〜15時間未満の場合)

図2:中心となる指導者(高学年/年間5〜15時間未満の場合)


 必修化後の指導者については、学級担任が中心となってALT(Assistant Language Teacher)などの外部人材とのティーム・ティーチングという方向性が示されている。しかし、図2からわかるように、ボリュームゾーンである年間時数「5〜15時間未満」の学校では、約7割が「外国語指導助手(ALT、AETなど)」中心であることがわかる。ここではグラフを示していないが、年間時数「35時間以上」の学校でも、学級担任が中心となっている割合は半分に満たない状況である。これらの実態からは、「学級担任中心」という体制での必修化は、それを受け入れる学校現場にとって非常にハードルが高いことがわかる。

小学校英語の課題とは?

 現状として、小学校英語には、時数や指導者の他にも、教育内容・開始学年など様々な点で大きなばらつきがあることが調査で明らかになった。小学校英語の現状は、まさに「十校十色」であり、今回の必修化はこのばらつきをなくしていくことが目的の一つでもある。しかし、「十校十色」の小学校英語には、忙しい公務の中で小学校の先生方が生み出してきた様々な工夫、豊かな成果も数多くある。必修化に向けて、これらの成果が十分に尊重され、活かされるべきだろう。

 一方で、これまで学級担任が英語教育をほとんど行っておらず、ALTや英語が堪能な地域人材も十分ではない学校も多い。また、実際に私たちの調査結果をご覧になった小学校の先生からは、「校務が忙しく、ALTとの打ち合わせの時間が十分にとれない」「研修に参加する時間がとれない」などの声も寄せられている。また、研修については、時間ばかりではなく内容についても、より実践的で授業に役立つものを求められているようである。こうした課題の数々には、教員・学校の努力だけでは解決できないものも多く、国・地方の行政による支援が重要になるだろう。

 様々な課題を抱えつつも、動き始めた小学校英語が、子どもたちによってより実りのある活動となるよう、私たちも調査を通じて今後とも見守っていきたいと考えている。

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