Benesse
一人ひとりの「よく生きる」のために
ベネッセ サイトマップ
ベネッセ トップ教育トップ
ベネッセ教育総合研究所
Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
トップページセンター長メッセージ 特集 ビデオメッセージ 研究員リポート 子どものココロ・大人のキモチ USER'S VOICE ご意見・ご感想
『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

トップページ > 研究員リポート > データからみる今と未来 第44回

研究員リポート
データからみる今と未来

第44回 しつけや教育への関心が高まっている母親たち― 第3回子育て生活基本調査〜幼稚園児・保育園児をもつ保護者を対象に

ベネッセ教育研究開発センター 邵 勤風 (2009/5/20更新)

 ベネッセ教育研究開発センターでは、2008年9月に、幼稚園児・保育園児の保護者約6,200名を対象に、子育て生活の実態、しつけや教育に対する意識を把握することを目的として、「第3回子育て生活基本調査〜幼稚園児・保育園児をもつ保護者を対象に」(以下「幼児版」と略称)を実施した。本調査は首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、地方市部、地方郡部にて行っており、経年比較できる首都圏については、1997年に第1回、2003年に第2回を行い、今回は第3回となる。本稿では、2003年から5年間の母親の子育てに関する意識の変化について、特徴的な結果を考察していきたい(調査結果の詳細は「第3回子育て生活基本調査(幼児版)・速報版」を参照)。

 「子育て生活基本調査」は今回の「幼児版」だけではなく、2007年9月に、小学1年生から中学3年生の保護者を対象とする調査(以下「小中版」と略称)も行っている。「小中版」では、母親たちが教育に対する不安感を高まり、子どもへの関与を強めているといった特徴的な結果がみられた(第25回のリポート参照)。今回の「幼児版」においても、「小中版」と同じような傾向がみられるのだろうか。

しつけや教育への関心が高まっている

 最初に、家庭の教育方針についてたずねた結果から紹介しよう。家庭の教育方針について19項目から当てはまるものを選んでもらったところ、全体に03年に比べて選択率が高くなっていた。とくに、「生活リズムを身につけさせる」「ゲームで遊ぶ時間は決める」「手作り料理を食べさせる」「安全な食材を選ぶ」「小学校入学までに読み書きができるようにする」などで、増加幅が大きい(項目は略記した。以下同様)。基本的な生活習慣をはじめ、しつけ、食事、知育などに対して関心を高めている母親の姿がみえる(詳細は「速報版、図1−1」)。たとえば、「小学校入学までに読み書きができるようにする」は25.3%が選択しており、03年に比べて5.1ポイント増加している。

 読み書きに対する意識が高まっているようだが、実際、母親は家庭で子どもと一緒にどれくらい読み書きの学習をしているのだろうか。図1で「週に1回以上」(「ほとんど毎日」+「週に3〜4日」+「週に1〜2回」の合計)の比率をみると、03年から08年にかけて「ひらがなやカタカナの学習をする」(44.7%→51.1%)は6.4ポイント、「数や算数の学習をする」(31.2%→37.3%)は6.1ポイント増加している。意識だけでなく、実際の行動面でも子どもの教育に対するかかわりを強めていることがわかる。

図1(1):ひらがなやカタカナの学習をする(経年比較)

図(1):ひらがなやカタカナの学習をする(経年比較)

図1(2):数や算数の学習をする(経年比較)

図1(2):数や算数の学習をする(経年比較)

「食の安全性」に関する悩みや不安が高まる

 次に、子育ての悩みや気がかりについて、この5年間でどのような変化があったのかをみてみよう(詳細は「速報版、図3−1」)。

 <食事と食生活><日常生活><からだと心の成長・発達><遊び・しつけ・教育><母親自身のこと>といった5つの視点から45項目を設定し、悩みや気がかりとしてあてはまるものを選んでもらった。その結果、最も選択率が高まっていたのは、「食の安全性」だった(29.4%→43.8%、14.4ポイント増)。こうした「食」への不安は、最近起こっている「食」に関するさまざま事件が原因になっていると考えられる。また、「ほめ方・しかり方」は8.3ポイント、「しつけのしかた」は5.6ポイント、選択率が高まっていた。

 3ポイント以上増加した項目が9項目あるのに対して、減少した項目は1項目だけである。選択した項目数の平均は、03年では10.6項目だったが08年では11.2項目となっており、母親の悩みや不安が全般的に高まっていることがわかる。

専業主婦、常勤、パートやフリーで、悩みや不安が異なっている

 ここで、母親の就業状況によって、悩みや不安に違いがあるのかを検討したい。図2は、母親就業状況によって5ポイント以上差がある項目のみを取り上げている。

図2 母親就業状況別の悩みや気がかり

図2 母親就業状況別の悩みや気がかり

 専業主婦で選択率が高いのは6項目で、「これからの生きがいや始めたいこと」は常勤との間で16.1ポイントの差が開いていた。それ以外では、食にかかわる項目や、友だちとの関係、しつけの仕方などの悩みが多い。

 一方、常勤で選択率が高いのは5項目で、「仕事に関すること」は専業主婦との間で30.6ポイントの差が開いている。このほかでは、食事、生活リズム、歯磨き・手洗いなどの生活習慣に関する項目で選択率が高い。

 パートやフリーで選択率が高いのは「教育費」であり、常勤との間で6.9ポイントの差がある。このように、母親の就業状況による違いが如実に表れている。


まとめ

 上記の結果から、しつけや教育への関心が高まっている一方、さまざまな悩みを抱えている母親の姿が浮き彫りになった。「食育基本法」の施行や「早寝早起き朝ごはん」運動といった政府の施策が行われ、しつけや教育に関する報道・情報が増えたりするといった動きがあるなかで、家庭の役割の重要性が認識され、母親の意識に変化をもたらしたと考えられる。一方で、それらは母親へのプレッシャーになっている可能性もあるのではないだろうか。子育てへの悩みや不安が高くなったのは、子育てを完璧に行わなければならないというプレッシャーの現れでもあるように感じる。こうした状況を考えると、社会全体でこうしたプレッシャーを増大させないような子育ての環境づくりが必要であろう。また、図2からわかるように、母親の就業状況によって、抱える悩みや不安がずいぶん異なっており、それぞれの家庭の生活実態、母親のライフスタイルに合わせた支援が求められるだろう。

 子育ての最終目標は、子どもの自立である。保護者としては、氾濫する情報に惑わされることなく、わが子と自分に合った子育てのスタイルをみつけられたらよいと感じる。そして、できるだけ多くの保護者が、子どもの自立を促すような適切なかかわりをしながら、就学前のこの大切な時期をゆったりとした気持ちで過ごせたらと願う。



ページトップへ

→ トップページ → 研究員リポート → 第44回 しつけや教育への関心が高まっている母親たち

この記事に対するご意見・ご感想をお寄せください。
(募集は終了しました)
ご意見・ご感想を読む