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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

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研究員リポート
データからみる今と未来

第45回 ケータイ世代の子どもたちのコミュニケーション事情― 「子どものICT利用実態調査」からみる携帯電話の利用実態と意識

ベネッセ教育研究開発センター 朝永昌孝 (2009/6/3更新)

 10年、あるいは15年前の生活の様子を思い浮かべてみて頂きたい。もし当時から様子が大きく変化したものを挙げるなら、携帯電話やパソコン等のメディアの利用状況という方も多いのではないだろうか。

 現在、これらのメディアは、子どもたちの間にも浸透しており、特に携帯電話については、その取り扱いが社会的な課題ともなっている。こうした背景のもと、ベネッセ教育研究開発センターでは、携帯電話やパソコンなどのいわゆるICTメディアの利用実態や意識を探ることを目的に、「子どものICT利用実態調査」を実施した。調査時期は2008年9〜11月、対象は小学4年生から高校2年生のおよそ1万人である(詳細は報告書「子どものICT利用実態調査」を参照)。

 この調査の対象者は、1990年代生まれで、物心ついた時から携帯電話があった世代である。本リポートでは、主に携帯電話に焦点を当て、こうした世代の子どもたちの利用の実態と意識を見ていきたい。

※ICT…Information and Communication Technologyの頭文字で、情報通信技術の総称。

携帯電話の所有率は、小学生3割、中学生5割、高校生9割

 はじめに、携帯電話の所有率をおさえておこう。自分専用と家族共用を合わせた携帯電話の所有率は、小学生(小4生〜小6生)が30.6%、中学生(中1生〜中3生)が47.8%、高校生(高1生〜高2生)が92.3%である。

 これは学年別にすると、興味深い傾向がみられる。小学生のうちは学年を問わず、所有率は3割程度である。しかし、中1生になると40.4%となり、中2生で49.0%、中3生で55.2%と、学年が上がるにつれて増加する。さらに、高1生になると、所有率は91.3%へと大きく跳ね上がる(速報版 図1-1参照)。

 このように携帯電話は、中学生の間に子どもたちの間に浸透していき、高校生になるとほとんどの子どもたちが持つようになることがわかる。

携帯電話の利用を日常的な光景としてとらえる子どもたち

 では、子どもたちは携帯電話の利用について、どのような思いをもっているのだろうか。中高生のみに尋ねた携帯電話に関する意識についての質問結果をみると、中学生で約5割、高校生で約9割を占める携帯電話の所有者のうち、中学生では71.3%、高校生では62.3%が、「メールが来たらすぐに返事を出す(とても+まあそう)」と回答している。

 また、携帯電話の利用時に気にしていることを尋ねた結果をみると、「友だちといるときは携帯電話に出ない」と気を配っているのは、携帯電話所有者のうち、中学生で30.5%、高校生で34.7%にとどまった(とても+まあ気にしている)。

 メールについては「即レス」などと言われるが、携帯電話を持つ一定程度の子どもたちが、携帯電話でつながった友だちなどの相手にはすぐ対応するもの、という意識をもっている。

 しかし、さらに注目すべきは、次の結果であろう(図1)。これは、上に示した状況とは反対に、自分と一緒にいる友だちが、目の前で携帯電話を使い始めたらどう感じるか、携帯電話を持たない子どもも含めて尋ねた結果である。

図1:対面場面での携帯電話利用に対する意識(中高生)

図1:対面場面での携帯電話利用に対する意識(中高生)
※携帯電話の「所有者」は、「自分専用の携帯電話を持っている」「家族と一緒に使う携帯電話を持っている」と回答した人。 「非所有者」は、「携帯電話は持っていない」と回答した人。
※この設問は、中・高校生のみにたずねた。

 これによると、中高生で多少の違いはあるものの、「いや(とても+少し)」と回答した割合は、友だちが「かかってきた電話に出る」では2割前後、「届いたメールに返事を書きはじめる」でも3割前後にとどまる。携帯電話の所有者に比べれば、非所有者のほうが「いや(とても+少し)」と感じる割合は高いが、それでもその割合は半数以下である。

 このリポートを読まれているあなたなら、どのように感じられるだろうか。携帯電話は時と場所を選ばずに持ち運んで利用できるという特性をもち、それが大きな利便性を生み出している。その一方で、この特性は時と場所を選ばずに携帯電話という存在が侵入してくるということにもなり、携帯電話への依存や利用マナー等が問題になってくる。

 だが、ここまで見てきた結果によれば、その良し悪しの評価は別として、中高生の全体的な傾向としては、携帯電話の利便性を理解しており、離れた所の人とでもすぐに携帯電話でつながるということを、日常的な光景として受け止めているのではないだろうか。今の子どもたちは、こうした状況の中で生活している。

大切な意思表示は、メールではなく対面で

 こうした結果から、ひとたび携帯電話を持つと、すべてのコミュニケーションが携帯電話中心になってしまうように感じるかもしれない。しかし、実はそうではない。

 図2は、高校生について、いくつかのコミュニケーション上の場面を設定し、もっともよく使うと思う方法をそれぞれ1つだけ選んでもらった結果である。これによると、「友だちを遊びに誘う」という場面では、半数以上が「メールを送る」を選択している。その一方で、「好きな人に告白する」「相手に対する不満を伝える」では6割、「親に謝る」では8割が「直接話す」を選択している。

図2:コミュニケーション手段の選択(高校生)

図2:コミュニケーション手段の選択(高校生)
※この設問は、中・高校生のみにたずねた。なお、ここでは高校生の結果のみを示した。

 このように、友だちを遊びに誘うといった気軽な場面ではメールを、自分の大切な意思を伝える場合は直接話すというように、子どもたちなりに、場面に応じてコミュニケーションの手段を使い分けていることがわかる。


おわりに

 子どもが携帯電話を利用するにあたっては、様々な問題への対応や対策を講じる必要があることは言うまでもない。しかし、たとえば10年、あるいは15年前の様子を想像してみればわかるように、子ども時代に携帯電話を持つという経験をしている人々自体、まだそう多くはない。

 携帯電話そのものはあくまで「道具」である。この情報化社会の中で、子どもたちがこの「道具」を適切に生かす力はどのように育てていけばよいのか。そして、子どもたちが学ぶ環境をどのように整えていくのがよいのか。今、大人世代に求められるのは、自分たちの経験を参考にできない部分が少なくないからこそ、既に子どもたちの間に普及している現状や、本リポートで見てきたような子どもたちの思いを十分に踏まえた上で、こうしたことを、冷静にそして前向きに考えていくことではないだろうか。



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