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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

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特集
生きる力を育てる共育力 〜家庭の学習支援力を考える〜

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活用型学力を育てる「家庭学習」と保護者の3つの役割

田中博之 早稲田大学大学院教授

こどもの家庭学習を支援する親の3つの役割

 では、親として子どもの家庭学習をどのように支援すればよいのでしょうか。次の3つの重要な役割が考えられます。(下記の「家庭学習支援力」構造モデル参照)

保護者の「家庭学習支援力」の構造モデル(田中博之、2009)
「家庭学習支援力」構造モデル

(1)ペースメーカーとしての習慣形成

 マラソンと同じで、伴走してあげることです。親がペースメーカーになって、子どもの規則正しい学習習慣と生活習慣の形成を支援することが親の一つ目の役割です。

 宿題や予習復習など、小学校くらいまでは、親がときどき様子をうかがい「どれくらい進んでる?」と聞いてアドバイスをしたり、励ましたりする。せかすでもなく、叱るでもなく、一緒に走っていこうよ、と態度で示すことが大切です。

 親子読書もいいでしょう。同じ本を読んで、感想を言い合います。そのとき「こうなんだよ」と教えるのではなく、「なぜかな?」「どうしてそう思ったの?」と原因や理由を考えさせてください。そして子どもが何か発見したら「そんなことお母さん考えてもみなかった、すごいねえ」と褒めてあげましょう。子どもは得意満面で説明してくれるでしょう。そこから表現力が芽生えていきます。さらに、「また教えてね」と子どもに伝えます。そうやって子どもを先生役にすると、どんどん次の本を読んでいくようになるでしょう。

 生活習慣の形成にもペースメーカーとしての役割を果たすべきです。早寝早起き朝ごはん、整理整頓など、親が率先してやれば、自然に子どももついてきます。おいしそうな朝ご飯があれば、子どもだって早起きするでしょう。

(2)サポーターとしての心の支え

 2つ目は子どもの心理的な支えになってあげることです。子どもの不安、心配、恐怖をほぐせる唯一の場が家庭にほかなりません。ふだんの勉強のことでも、将来の進路のことでも、子どもはたくさん不安や悩みを抱えています。親に相談に乗ってほしいのは、その不安や悩みを解消してほしいからです。

 それなのに、例えば頭ごなしに「頑張ればもっとできるはずだ」とか、「それよりもこちらのほうが将来有望だ」とか、親の身勝手な期待や願望を押し付けると、子どもの不安や悩みは解消するどころか、かえって増幅してしまいます。

 いちばんいけないのは、よくありがちなのですが、自慢話をすることです。子どもはいっぺんに勉強がイヤになります。そして自分は親に近づけるのだろうか、バカにされるのではないか、とますます不安になってしまいます。

 子どもの悩みを聞いて不安を解消し、一緒に適性を考える。それがサポーターです。その子なりの個性を発見し、暖かく励ます。たとえ学校の成績が芳しくなくても、「子ども会でみんなをリードしているね」とか「このあいだ料理してくれたとき、おばあちゃんはあんなに喜んでおいしいって食べていたね」とか、その子の良いところを見つけて、どんどん励ましてあげる。親は褒め上手にならなければいけません。家庭は子どもが生きる自信と安心を得られる最後の砦です。だからこそ、親御さんは「あなたを信じているよ」というメッセージを出し続けてほしいのです。

(3)ファシリテーターとしての環境づくり

 最後に子どもの自律性を引き出すファシリテーターとしての機能も求められます。あれこれ指示して教えるのではなく、本人の能力を自主的に発揮できるよう誘導するのがファシリテーターです。具体的には、家庭学習用の教材や課題を準備し、体験学習の機会を提供するなど、子どもが主体的・自主的に学べる環境づくりでしょう。 

 ただし、子どもがその気にならないうちに最初から与えてしまうと、やはりただの押し付けになってしまいます。だから子ども自身が家庭学習の計画を立てるように仕向けて、主体的・自主的に学ぶ誘いかけをした後で、子どもが欲しいと言ったときに初めて、学習教材や学習機会を提供することがポイントです。

 子どもが自発的に問題解決に取り組めるような家庭での日常体験。親御さんには、それを含めての「家庭学習」ととらえ、ペースメーカー、サポーター、ファシリテーターとしての機能を発揮して、子どもの家庭学習を支援してほしいと思います。

 なお、次ページに私が代表を務める「総合学力研究会」が提唱する「家庭の教育力チェックリスト」を掲載しましたので、ご自分の家庭の教育力の状況を点検してみてください。



 
   
特集「生きる力を育てる共育力」
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