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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

教育の第一人者からのビデオメッセージ 「2010年に向けて〜 教育への提言 」
学力向上と人間性の育成、その重要性と指導のヒント 第1回
子どもたちが勉強の面白さや意義を実感できる授業づくりの必要性が高まるなか、理科教育の第一人者であり、現場の先生方への指導・提言も積極的に行っている広島大学大学院教授の角屋重樹先生から、2010年に向けてのキーワードを2つあげていただきお話を伺いました。第1回目は『学力の向上』をテーマにご紹介します。

●国際社会を生き抜くために、学力向上を図らなければいけない

 2010年の教育へ向けてのキーワードとして、私は2つ考えていまして、その1つは学力向上。そしてもう1つは人間性の育成です。今、世の中は学力向上でずっと走っていますが、私はそれだけでは非常に大きな問題が出てくるのではないかと思っています。だからあえて、相反するように見える(実はともに高め合うことができるのですが)“学力の向上”と“人間性の育成”、この2つをペアにして提案したいと思います。

 まず学力向上についてですが、いわゆる学力というものは数年前からTIMSSやPISAなどの国際調査によって、日本の国としての相対的に順位が下がっています。以前はトップだったものが、だんだん下がってきている。これは非常に危惧しなければいけないことで、相対的に順位が下がるとは、日本が一定の水準を保っていても、他の国がしっかりがんばっているということです。だから今の国際社会を生き抜いていくためには、やはり相対的な順位も日本としては上げていかなければいけない。となると、どうしても学力向上を図らなければいけないということになります。

●繰り返し学習の効果アップに必要なのは、飽きさせないための工夫

 学力向上といいましたが、学力を考えるときには2つの側面を考えておかなければいけないと思います。その1つは、繰り返すことによって得られる知識や技能という意味での学力。もう1つ忘れてはならないのは、考えて表現する力としての学力。これは能力ともいえるものですね。この2つを絶えず念頭におきながら学力の向上を図っていかなければなりません。

 さらに詳しく説明しましょう。繰り返しによって得られる学力についてですが、ただ繰り返しておけばいいのかというと、そうではない。やっているうちに必ず飽きてきます。だから飽きがこない繰り返し学習を考えなければいけない。現在、私たちが考えている方法としては、子どもに目標を持たせながら繰り返し学習をするというものです。たとえば算数の計算だったら「ある一定の時間にたくさん解けるようにしよう」という目標を持たせて、ドリルなどの繰り返し学習をする。あるいは「問題量は一定だけれど、解き方を変えてみよう」という目標を持たせて繰り返し学習をするという方法もあります。

●考えて表現する力を向上させるために「比べる力」をつける

 一方、考えて表現する力としての学力ですが、これを向上させるには、特に名人芸的な先生の授業の中に非常に大きな秘密があります。

 たとえば問題を解決するときに、子どもが自ら問題を見つけ出すのがもっとも理想的です。ところが今までは時間がなくて、先生が問題を与えていたのです。そこで私たちは、子ども自身が簡単に問題を見つけ出す方法はないか?という研究をしまして、その結果、(問題を見つけ出すためには)比べる力をつけることが効果的だとわかったのです。

 たとえば、枯れたアサガオと枯れていないアサガオの2つを用意します。そうすると子どもたちは必ずといっていいほど「あれ?片方は枯れていて、片方は枯れていない。どうしてだろう?」と思います。つまり、比較する対象を見せることによって、子どもたちが自然に疑問を持つという心理的状態になるわけです。

 そういう状況に持っていくことによって、子どもは違いを見つけるということを考える。このように“考える”ということが、それを実際に調べるにはどうしたらよいか、という“表現”することにつながる。それが理科の場合には、実験するという形にあらわれてきます。他の教科の場合ではグラフにしてみるとか、あるいは文章で書くというのが表現です。そういう段階を経て考える力と表現する力、あるいは実験を企画する力などいろいろな能力が育っていく。これが、2010年に向けて、学力を育成する1つの方法ではないかと思います。

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角屋重樹(広島大学大学院教授)
角屋重樹(かどや しげき)
広島大学大学院教授・博士(教育学)。
専門は、理科教育・理科教育方法学。
広島大学大学院教育学研究科教科教育学(理科教育)専攻博士課程単位取得退学。
文部省初等中等教育局教科調査官、中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会 理科専門部会委員などを歴任。
著書に、「小学校 理科の学ばせ方・教え方事典(教育出版)」、「これからの理科研究授業(研究授業シリ−ズ)小学校高学年編/小学校中学年編(明治図書)」、「資質・能力をはぐくむ小学校理科の単元展開と評価(文渓堂)」、「ベネッセ発 親子で伸ばす『本物の学力』(監修)(日経BP社)」など、多数。