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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

教育の第一人者からのビデオメッセージ 「2010年に向けて〜 教育への提言 」
第2回 親のしつけスタイルが子どもを伸ばす
 「2010年子どもの教育を考える」というテーマに対し、お茶の水女子大学の内田伸子先生から大切にしたいキーワードをあげていただき、お話を伺いました。第2回目は「親のしつけスタイルが子どもを伸ばす」です。

● 第1回目に、「読み書きや語彙力には、一見、経済格差が影響を与えているように見えるが、実はしつけスタイルによる影響がありそうだ」ということを教えていただきました。こうした点から、改めて教えていただけますか?

まず、ひとつは、「共有型しつけ」スタイルです。これは、高い収入層に多く見られるしつけスタイルです。その対極にあり、経済層の低い方に多く見られたのが「強制型しつけ」スタイルです。そして、どちらの層にもある程度見られるのが「子負担型(自己犠牲型)しつけ」スタイルでした。

しつけスタイルと収入

● 「共有型」「強制型」「子負担型」という3つのしつけスタイルをあげていただきましたが、それぞれの特徴を教えてください。

「共有型しつけ」スタイルは、「子どもと一緒に楽しい時間を過ごす」ことにYesと回答しています。子どもと一緒に外出や旅行するのが好きで、子どもにたびたび話しかけています。子どもと共に暮らすことに楽しみを見出し、子どもと一緒に経験を共有することに喜びを見出しているといえるでしょう。この「共有型しつけ」スタイルのご家庭では、ご家庭の蔵書数が非常に多いという特徴があります。このスタイルは、語彙と高い関連があるということが見られました。

次に「強制型しつけ」スタイルです。このスタイルは、決まりを作る、やかましく言わなければ子どもは聞いてくれない、言いつけ通りするまで責め立てる、行儀を良くするために罰を与えることは正しいやり方だ、言いつけ通りに従わせようとしている、何度も事細かに言い聞かせようとしている、子どもの将来を良くするためにはきちんとしつけなければいけない、すべきことをするまでは何回でも指示する、といった項目にYesと回答した方です。この「強制型しつけ」スタイルでは、先ほどの「共有型しつけ」スタイルとは逆に、家庭での蔵書数が少ないということが分かりました。

そして、どちらの収入層にも見られたのが、「子負担型(自己犠牲型)しつけ」スタイルです。全生活は子どもを中心に回っている、自分のことを我慢しても子どものためにしてあげたい、ということにYesと回答した方です。子育てに一生懸命な姿がありますが、読みたいときに読書ができないなど、不満を持っていらっしゃる方たちです。子育てが負担であると感じている方は、どちらの層にも見られました。

● 3つのしつけスタイルを教えていただきましたが、子どもとの関わり方にはどのスタイルがよいのでしょうか?

そうですね。経済の要因を排除しても、この「共有型しつけ」スタイルと語彙能力の関連が非常に強く出てきましたので、「共有型しつけ」スタイルのもとでお子さんが発達していけるのではないかと思います。

● 家庭では、保護者の方はお子さんとどのような関係づくり、言葉かけをしたらよいのでしょうか?

お子さんのことを大好きで心の絆をしっかりと結んで、お子さんの安全基地になることですね。「困ったときにはいつでも助けてもらえる」という安心の中で、子どもは育っていきます。

言葉かけでは、勝ち負けの言葉を使わないことです。例えば、お子さんが言いつけを守らないで失敗したときに、「ほら、ママの言った通りでしょ。ママの言うとおりにしないから失敗するのよ」という会話をよく聞きますが、子どもに勝ってどうするのでしょう。勝ち負けの言葉は使わないでください。

また、裁判官のように禁止や命令をトップダウンでくださない。提案の形で、「○○したらどうかしら」というように言葉をかけましょう。

さらに、子どもが自分で考え、判断する余地を残すことです。「パパはこう思うけど、あなたはどうかな?」というように、子ども自身に考えさせるような言葉かけをすることが、考える力、自分で判断する力、想像する力を育てることになるのではないかと思います。

●子どもとの間の心の絆(信頼関係)を作ることが出発点
●大人は「勝ち負け」のことばを使わない
●大人は子どもに対して裁判官のように判決(禁止や命令)をくださない
 →提案のことばを投げかけて子どもの判断を待つ
●子ども自身が考え、判断し、工夫する余地を残す

(2009年12月1日収録)


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内田 伸子先生
内田 伸子(うちだ のぶこ)
お茶の水女子大学教授
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。学術博士。専攻は発達心理学、認知心理学。主な著書に『ことばと学び:響きあい通いあう中で』(金子書房)、『子どもの文章:書くこと考えること』(東京大学出版会)、『発達心理学:ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『幼児心理学への招待−子どもの世界づくり』(サイエンス社)、『子育てに「もう遅い」はありません―心と脳の科学からわかる親が本当にすべきこと』(成美堂出版)他多数。



第2回
親のしつけスタイルが子どもを伸ばす

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