ベネッセ教育総合研究所
特集 中学校のキャリア教育を考える
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進路指導と道徳教育がキャリア教育の両輪になる
 さて、発達段階に応じた指導と同時に、「報告書」のもう一つの要が、諸活動の体系化と組織的な取り組みについての提言だ。
 まず諸活動の体系化だが、「報告書」では進路指導(特別活動)、教科教育、道徳教育などのすべての教育活動を通じて、キャリア教育を推進する必要があるとしている。三村先生はそのなかでも、特に進路指導と道徳教育が両輪になると言う。
 「進路指導は、自分の視点から将来を探ることです。自分がどんな生き方、働き方をすれば楽しいか、充実するかを考えます。反対に道徳教育は、他者の視点から自分にはどんな生き方が求められているのかを考えます。絶えずこの二つの視点をクロスさせることで、勤労観・職業観が育まれていくはずです」
 この「自分からの視点」と「他者からの視点」の両者をクロスさせながら生徒を育てるという考え方は、特別活動や「総合的な学習の時間」にも適用できるはずだ。  一方、組織化については、三村先生は次のように語る。
 「教務部と進路部、そして『総合的な学習』を担当している先生あたりが軸となってキャリア教育を進めるのが一般的です。重要なのは、一部の先生が抱え込まないこと。校内の多くの先生を巻き込むことによって、問題意識やノウハウの共有化が図れます」
 日本におけるキャリア教育は、まだこれからである。少しでも多くの先生がキャリア教育の考え方を理解し、他校とも情報交換をしながら実践を重ねていくことが、自分の進路に向かって力強く歩み出す生徒を育てることにつながるはずだ。


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