ベネッセ教育総合研究所
特集 変わる高校入試に中学校はどう向き合うか
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高校は学校独自選抜によって
ほしい生徒が選べるようになった
 高校入試では、受験機会の複数化も進んでいます。従来は推薦入試と一般入試という形をとるケースがほとんでしたが、この場合、推薦入試を受けられる生徒は一部に限られます。そこで入試を前期(呼び方は「前期」「特色化選抜」など)と後期に分けることで、どの生徒にも複数の受験機会を与えようというわけです。アンケートでは、受験機会の複数化に力を入れてきた県が「やや」と「とても」を合わせて65.4%にも達しています(図3)。
図表
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 受験機会の複数化を進めている県では、前期入試と後期入試で選抜方法に違いを持たせています。前期入試では、高校が独自に生徒を募集して入試を実施する方式を採用し、選抜方法も、面接、作文、実技など、学校の判断で設定できるほか、学校独自問題(学校が独自に作成した学力テストのこと)を実施するところもあります。前期の独自問題では、「総合問題」の名で、教科横断的な問題を課すケースが多いのも特徴です。
 一方、後期入試は、従来通りの全県一斉の学力テストが主ですが、東京都の日比谷高校や国立高校などの進学校が実施したように、教科の独自問題を課すケースもあります(図4)。
図表
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 受験機会の複数化は、生徒にとっては入試が一発勝負ではなくなるという点が魅力です。また高校側にとっては、学校独自の選抜が可能になるため、求める生徒像に合致した生徒を選べるというメリットがあります。そうした意味でこの入試制度は、高校の個性化を後押しするものでもあります。
 整理をすると、現在進められている高校入試制度改革には二つの方向性があるといえます。
 一つは生徒にとっての選択肢の拡大です。学区の撤廃や緩和によって受験可能な高校数が増加し、また受験機会の複数化によって受験回数も増えました。もう一つは、独自入試をはじめとした学校ごとの特色づくりです。


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