ベネッセ教育総合研究所
特集 変わる高校入試に中学校はどう向き合うか
高橋利行
▲岐阜県教育委員会
高橋利行指導主事
高橋博美
▲岐阜県教育委員会
高橋博美指導主事
宮崎仁志
▲千葉県教育庁指導課学力推進室
宮崎仁志主幹兼室長
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教育委員会&高等学校取材レポート
受験機会の複数化は高校入試をどう変えるか!?
 ここ数年、高校入試制度改革の一つの流れになっているのが、受験機会の複数化。2000年度入試で群馬県が導入して以来、全国的な広がりを見せつつある。教育委員会には受験機会を複数化させた背景とねらいを、高校には、入試の複数化によって学校や生徒がどう変わったかをたずねた。


REPORT1
教育委員会インタビュー(岐阜県・千葉県)
生徒が行きたい学校に挑戦できる環境を整備した
一発勝負でなくなった公立入試、果敢なチャレンジが可能になった
 受験機会の複数化とは、具体的には一般入試を前期入試と後期入試の2回に分けて実施するもの()。2000年度入試で群馬県がはじめて導入して以来、急速に広がっており、05年度入試では12県が実施する予定となっている。

注 名称はI期入試+II期入試、特色化選抜+一般選抜など、県によって異なる。

 岐阜県は02年度に受験機会の複数化に着手したが、岐阜県教育委員会指導主事の高橋博美氏は、そのねらいを次のように語る。
 「本県では従来、一般選抜のほかには推薦入試と2次募集を実施してきました。しかし推薦入試は、中学校長の推薦状がないと受験できません。また2次募集をするのは、一般選抜で定員に満たなかった高校だけ。したがって、生徒は行きたい高校だから受験するというわけではなくなり、合格しても不本意入学になる可能性が高まります。そこで、すべての生徒が複数回受験でき、しかも行きたい学校に挑戦できる制度を考えたのです」
 岐阜県の場合、前期入試を「特色化選抜」、後期入試を「一般選抜」と呼んでいる。特色化選抜では、まず高校が生徒募集に際して「部活動や生徒会活動に積極的に取り組んだ者」というように、求める生徒像を提示する。そしてこの求める生徒像に合った生徒を選抜するために、面接、小論文、実技検査、学校独自問題などのなかから各高校が独自に選抜方法を選択して、各校ごとの入試を行うというものだ。募集人員も、普通科、理数科、英語科が入学定員の10〜20%、その他の学科は10〜50%の範囲内で、各高校で自由に定められるようになっている。一方、一般選抜は、従来通りの5教科による一斉学力検査となっている(一部、学力検査に加えて面接や小論文等を課す高校もある)。
 千葉県でも03年度入試から、高校が独自に求める生徒像を示し、選抜方法を設定する「特色ある入学者選抜」を導入している()が、高校側の評価はかなり高いようだ。
図表
 千葉県教育庁指導課学力推進室主幹兼室長の宮崎仁志氏は、こう語る。
 「本県の場合、特色ある入学者選抜の予定人員は、全定員の10〜50%の範囲内で各学校が自由に設定できるのですが、50%の枠をぎりぎりまで活用している高校が多く、04年度入試では全体の約8割にのぼります。
 公立高校が他校との横並びでも安泰でいられる時代は終わり、学校の特色を明確に打ち出す必要に迫られているのですが、そのためにも求める生徒を確実に選抜できる『特色ある入学者選抜』を積極的に活用していると思われます」
 受験機会の複数化のメリットは、生徒には公立高校入試が一発勝負でなくなり、学力的に合格が難しい高校に、果敢にチャレンジすることも可能になることだ。


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