ベネッセ教育総合研究所
米野岳中学校
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調査のメリット(1)
学級ごとの課題が明らかになる


 客観的数値で、自分の学級のどこを改善すべきかという課題がはっきりするので、担任が指導に生かせる。学期に1度実施すれば、前学期と比較した「伸び」もわかり、手応えを感じられる。
 都田校長は、毎学期末、調査結果の集計(図2)を見ながら、学級担任と面談をし、とりわけ次学期の課題については具体策までたずね、求められれば、助言もするという。例えば、「思っていることをどんどん発表する」という項目の肯定率が特に低かった場合、勉強のできる人だけが活躍する雰囲気が学級にないか、学級内では間違いや失敗が許されているかなど、他項目と関連させながら原因を考え、どうすれば発表しやすい雰囲気になるかを一緒に考える。
 「各担任には、『他学級と比較せず、自分の学級だけを見てください』と言葉をかけています。クラスによって生徒は違うし、あくまでも、自分の学級の課題を把握し、学期ごとに伸びを確かめる手段にするようにと指導しています」(都田校長)

調査のメリット(2)
学校全体の課題が明らかになる


 学級経営に生かせるばかりではない。多くの学級で数値がよくなかった項目は、学校全体の課題として改善に取り組む。
 例えば、昨年度、「授業の合図とともに自分たちでただちに学習に取りかかりますか」という項目の数値が悪かったことを受けて、今年度から始業・終業のチャイムを鳴らすことをやめた。
 チャイムがあると、「鳴ってから始めればいい」という一種の安心感から、かえって時間を気にしなくなってしまう。しかし、チャイムをなくすことで、「自分で気をつけなければ」という気持ちが生まれ、時間に対する意識を高められると考えたのだ。その結果、1年後に行った今年度の調査では、2年生以上の数値が同じ項目で飛躍的に向上した。
 学校全体でこうした改善のための取り組みを実践することは、各担任に対して、「自分のクラスでもやらねば」という意識をもたらす効果もあるのだという。

調査のメリット(3)
生徒自身の意識を高める


 学習集団形成度調査の結果は生徒にも公開する。クラス全体の結果を生徒が目にすることで、生徒自身が授業の受け方を考えるきっかけにするためだ。それを、生徒自身による課題解決に発展させることも可能だ。
 例えば、「授業中に1回も発言しないような人が半数以上いる」という項目を肯定する数値が高かったとする。これについて生徒たちが話し合い、原因や改善策を考える。そして、授業中に発言した人が○人いたら「5」、○人いたら「4」というような指標を考える。ただし、教科によって発言機会などは違うから、最終的には、各教科ごとに先生に相談して目標を決める。
 「先生に言われたことでなく、生徒自身が自分で考えたことは、守りたくなるもの」(都田校長)という効果もあるようだ
写真
▲国語のTTの授業。グループごとの話し合いでも、積極的に意見が交換される


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