ベネッセ教育総合研究所
特集 小・中の壁を超える中1・1学期の指導 とは?
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学習のつまずきを防ぐために
中学校でも個に応じた指導の導入を
牛田 今日は初期指導がテーマですが、入学直後の4月、5月は、実はあまり問題が出てこないんです。子どもたちはいい意味で緊張していて、頑張ろうとしていますから。ところが6月ぐらいから、部活動や生徒会活動が本格化してきますし、各教科から宿題もたくさん出されるようになります。加えて私の学校では、始業前の朝学習というのがありますから、子どもたちはとても忙しくなる。そうするとついていけない子も出てくるんです。例えば宿題の提出率も、このころからガクッと下がり始めます。
田中 なるほど。初期指導は本当のスタート時期よりも、6、7月のほうが難しいわけですね。
牛田 この時期に学習意欲をなくす子どもが出る理由の一つに、画一的な宿題を与えていることもあると思います。
 ある子にとっては、まったく対応できないレベルの宿題を課される場合もあるわけですからね。だから、先ほど玉置先生もおっしゃったように、中学校でも、個に応じた指導のいっそうの工夫が求められます。
玉置 ただし、難しい面もありますね。例えば、宿題をしてこなかった子どもを叱る場合、小学校の担任なら子どものようすを見ながら、その日のうちに叱ったことへのフォローができますが、中学校の教科担任だと次の授業で顔を合わせるのは数日後になってしまう。子どもと接する時間が限られており、しかも一斉授業が中心なので、一人ひとりに応じたフォローをしていくのが難しいのです。
牛田 確かにそうです。私の学校では英語については、入門期が大事だということで、中1の1学期から少人数授業を導入しています。1学年60人ほどしかいない小さな学校ですが、英語は60人を3クラスに分けて行っています。これぐらいの人数だと、一人ひとりに対して、初期段階から個に応じた丁寧な指導が可能になります。英語の授業は、子どもたちにも好評です。
田中 これは一つの提案ですが、現在、選択教科を1年生から導入することが制度上可能になっていますが、実際には生徒が選択できるほどメニューが用意されていません。でも、1年生こそ選択教科を機能させれば、個に応じたきめ細かい指導が可能になります。少人数授業や習熟度別授業ができるわけですからね。子どもたちを中学校での学習にスムーズに移行させるために、もっと選択教科を活用する方法もあると思います。
図表


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