ベネッセ教育総合研究所
常盤 豊氏にきく"
常盤 豊
文部科学省 初等中等教育局教育課程課長
常盤 豊

ときわ・ゆたか●1982年文部省(当時)入省。鹿児島県教育委員会学校教育課長、文化庁記念物課長、広島県教育長などを経て、2004年7月から現職。
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適度な競争意識を
学校改善と学力向上につなげてほしい
 学習指導要領の一部改正からほぼ1年。文部科学省の学力向上策は広がりを見せており、2005年度からは「学力向上拠点形成事業」を始める方針も打ち出している。さらに、中山文部科学大臣は04年11月、全国学力テストの実施を検討する私案を提出した。同年7月に就任された常盤豊教育課程課長に、義務教育の現状について感じていることや今後の方向性についてうかがった。


自信がない中学生。自己肯定感、自己効力感を持たせることが重要
──地方の教育委員会でのご経験もおありですが、いまの学校現場の課題として感じていらっしゃるのはどんなことですか。
常盤 「学力が低下している」「規範意識が薄くなった」「体力が衰えた」と、いまの子どもに対しては、知・徳・体にわたっていろいろな問題が指摘されますが、私は、この20〜30年の間にカリキュラムの質や先生の指導力がそんなに低下したとは思いません。むしろ、子ども自体の変化、社会の変化がそれぞれの問題に大きな影響を与えていると思っています。
 ただ、そうした子どもの変化、社会の急速な変化に、学校が必ずしも対応しきれていないことは問題にしなければならないでしょう。
 中学校の課題は、子どもたちに自信がないことです。いろいろな意識調査を見ても、いまの中学生は夢を持っていないし、持っていたとしても実現するとは思っていない。自分の長所が言えないし、「勉強がわからないし、楽しくない」と思っている。
 これは、自分が社会のなかでどのような役割を果たしているのか、あるいは果たすべきなのか、長い人生のなかで、いまどの位置にいるのかなどを、子ども自身が正しく意識できていないことから生じる問題です。
 この中学生の問題を解決するには、子どもたちに、自己肯定感、自己効力感を身につけさせることが重要だろうと考えています。


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