ベネッセ教育総合研究所
特集 学びに向かう集団づくり
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教師の意識が変化すると生徒も変わる
 大野先生の言葉を受け継いで、教頭の太田春美先生も次のように語る。
  「生徒指導でよくみられるのが、生徒指導主事を中心とした一部の先生方が力で生徒を抑え込もうとするケースです。この場合、学校に生徒指導のエースがいるときにはうまくいくかも知れませんが、その先生が異動でいなくなってしまったとたんに、生徒の生活は崩れかねません。それに比べて今の本校は、学校で何か問題が起きたときに、一部の先生が力を行使して問題を収めようとするのではなく、全員で問題が起きている原因を探り、組織として解決していこうとする態勢が確立されつつあります」
  興味深いのは、教師の関係が変化すると、それが生徒にも敏感に伝わるということだ。テトラSの活動を通じて、すべての先生が同じ姿勢・同じ言葉で生徒に接するようになった。また担任や授業を受け持っていないクラスの生徒にも意識が向くようになった。例えば授業に遅刻してきた生徒に対して頭ごなしに突き放すのではなく、「なぜこの子は、授業を前向きに受けることができないんだろうか」というように、子どもを理解しようとする方向へと意識が向かっていった。その変化に、生徒が教師に向ける態度も、刺々しいものから柔らかみを帯びたものへと、少しずつ変わっていった。
  「もちろん一朝一夕には、生徒の変化は望めません。私が担当している体育でも、3年間取り組みを続けてきて、チャイムと同時に授業を始められる雰囲気ができあがりました。今、本当の意味でスタート地点に立ったところです」(大野先生)


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