特集 つながる小中の「学び」―小学校から中学校、その接続を考える―

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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特集 つながる小中の「学び」
小学校から中学校、その接続を考える

小学校から中学校へと進学する子どもたちは、心身ともに大きく変わろうとする思春期と、学習環境の大きな変化を同時に経験する。この転換期に教師が留意すべき、初期指導のあり方を考える。

【課題整理】

小学校から中学校へのスムーズな移行を実現する指導とは

中学進学時に、生徒は何に戸惑いや不安を感じるのか。 生徒が感じるさまざまな段差を検証し、 その接続をスムーズにするための指導法を考える。

1 小→中で一気に学習意欲が低下する

 ベネッセ教育研究開発センターが2004年末に実施した「第1回子ども生活実態基本調査」では、平日の家庭学習は「ほとんどしない」と回答した小学生(4〜6年生)が1割に満たなかったのに対し、中1では23.5%にまで増加。中学校への進学を境に家庭学習から離れてしまう子どもが増えているという実態が明らかになった。
  その背景にあると考えられるのが、学習に対する否定的な意識の増加だ。同調査で学習への意識や取り組み方を調べたところ、「勉強しようという気持ちがわかない」小学生は36.2%だが、中学生は56.3%と半数を超えた(図1)。中学校に入ると学習意欲そのものを喪失してしまう傾向があることがわかる。
  同様に、「どうしてこんなことを勉強しなければいけないのかと思う」子どもは31.9%から56.1%へと大幅に増加している。この結果は、学習意欲を支える目的意識も大きく揺らいでいることを示している。更に、「上手な勉強のしかたがわからない」と学習方法に悩む子どもも、38.9%から72.1%に倍増する。
  こうした結果から、小学校から中学校への移行過程で、多くの子どもが、学習意欲を失う→学習しなくなる→一層、勉強がわからなくなる→苦手意識が強まる、といった悪循環に陥るという仮説が立てられる。では、なぜ、そうしたことが起こるのか。次に、その要因と考えられる小中の学習環境の違いを見ていきたい。

図1

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