第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例3]島根県 飯南町立赤来中学校

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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全国との比較で生徒の実態を細かくつかむ

 レインボーチャートの定着によって、生徒の実態把握と評価は充実してきたが、一つの大きな観点が抜けていたと、烏田勝信校長は語る。
  「それは、全国的に見た生徒の学力の相対的な位置です。小規模校ほど『井の中の蛙』になりがちですから、毎年、学力調査と学習意識調査を行い、常に他地域との相対的な位置を把握するように努めています」
  赤来中学校の周辺には学習塾もなく、大半の生徒にとっての学びの場は学校と家庭だけになる。そのため、教師は「校内で上位だからといって安心してはいけない」と、常に話しているという。
  また、学力調査の結果とレインボーチャートの評価を比較することで、自校の評価の妥当性を確かめる材料にしている点も大きな特徴といえるだろう(図3)。
▼図3 学力調査を組み込んだPDCA

図3
学力調査や学習意識調査、日々の観察などによって生徒の実態を把握し、指導の焦点を絞った上でレインボーチャートによって評価する。また、そこから見えた課題に対して指導の工夫・改善を再び行う
「レインボーチャートでは『知識・理解』『思考力・判断力』『応用力・課題解決能力』などが課題に挙がりましたが、05年度の学力調査でも同様の結果が表れ、私たちの評価の方向性が確かめられました。一方、教師が実感していた『関心・意欲・態度』の高さが、学力調査の結果にも表れており、大きな自信につながりました」(森山先生)
  学力調査の結果は、主に研究主任が分析して教師全員で共有し、05年度には家庭学習に用いられる「自学ノート」の導入や、授業の見直しをはじめ、さまざまな取り組みに活用された。このように、レインボーチャートを学力調査で補完することで、常に校内の評価システムを見直し、指導の工夫、改善につなげている。今後は、学習意識調査との相関関係の分析にも力を入れる方針だ。

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