教育現場の挑戦 求められるキャリア教育の充実
新潟県
柏崎市立瑞穂中学校

新潟県中央部に位置する柏崎市の市街地近郊に立地。生徒が望ましい学習習慣を身につけることなど4つの「みずほ文化」の継承と発展を根底に、キャリア教育の実践を目指す。

田邉哲郎

▲校長 田邉哲郎先生

児童数 251人
学級数 10学級
所在地 〒945-0024
新潟県柏崎市小金町2-11
TEL 0257-22-3593
FAX 0257-21-3111
URL http://kedu.kenet.
ed.jp/mizuho/


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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[実践事例]

新潟県 柏崎市立瑞穂中学校

5日間の「職場体験学習」を軸に
キャリア教育を推進

実践のポイント
1 小・中・高校の12年間を通したキャリア教育の流れを考え、中学校段階の役割を明確にする
2 「社会に貢献する」「人の役に立つ」という経験を通して、勤労観、職業観を育成する
3 日常の教科の授業の中にも、キャリア教育的な要素を組み込む

小・中・高校の12年間の中での役割を明確にする

 瑞穂中学校が本格的にキャリア教育に取り組み始めたのは、2004年に柏崎地域が文部科学省から「キャリア教育推進地域」の指定を受けたことがきっかけだ。市内の学校の中で小学校3校、瑞穂中学校を含む中学校2校、高校2校が指定を受け、瑞穂中学校では校長、教頭、教務主任、進路指導主事、研究主任、各学年主任、主事(会計)による「キャリア教育推進委員会」が発足した。
  まずは指定校の担当者が集まり、地域としてどのようにキャリア教育を進めていくか、方針を決めることから始まった。既に、小学校では職業調べ、中学校では職業体験、高校ではインターンシップなどを行っていた。それらの取り組みとキャリア教育はどう違うのか、また小・中・高校で同じような活動をする意味があるのか……。議論は白熱し、各校の担当者がそれぞれ勉強して、手探り状態ながらも少しずつ議論は前進していった。瑞穂中学校で取り組みの中心となった教務主任の重野正毅先生は当時をこう振り返る。
  「いろいろな意見が出る中で、職業選択や進路選択に直接的に結びつけるのではなく、将来の生き方の基礎となる力を養うことがキャリア教育だという認識が生まれました」
  この議論を通して、小学校から高校までの12年間を「勤労観の確立から職業観の確立を図る期間」とする共通認識が生まれた(図1)。勤労観とは、自分が社会の中である役割を果たすことに喜びを感じること。職業観とは、社会のどんなところで自分は役に立てるのかを考えながら、職業についての理解を深め、方向性を定めていくこと。土台となるのは勤労観で、これが確立して初めて職業観を涵養できる。小学校段階は勤労観、高校段階は職業観を確立する時期として捉え、中学校段階は「勤労観の確立から職業観の確立に至る橋渡しをする期間」として捉えることを、指定校全体で共有した。
  地域全体でのキャリア教育の目標は「児童・生徒の職業観・勤労観を育むため、体験的な活動等の体系的な運用を目指す」と決まり、これを基に各校の目標を決めることとなった。瑞穂中学校は、「『いかに生きるか』という目標を定め、その実現に向かい学習を深め、自己の能力・適性の把握と開発伸長に努める生徒の育成」と目標を定めた。
▼図1 クリックすると拡大します
図1

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