特集 生徒が変わる「キャリア教育」

宮城県  仙台市立柳生中学校

宮城県 仙台市立柳生中学校

仙台市のベッドタウンとして宅地化が進む太白区に1996年開校。行事では生徒自身の主体的な活動を支援。青少年赤十字(JRC)への全校加盟を通して、ボランティア活動の実践にも力を入れている。

校長●佐藤 淳先生

児童数●740名

学級数●22学級(うち特別支援学級2)

所在地●〒981-1106 宮城県仙台市太白区柳生3-7-3

TEL●022-242-4431

FAX●022-242-4460

URL●http://www.sendai-
c.ed.jp/~yanagi/


藤井勝哉

▲仙台市立柳生中学校

藤井勝哉
Fujii Katsuya
研究主任。社会科担当
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例1】

学んだことをグラフ化し、自己理解や職業観を深める

宮城県 仙台市立柳生(やなぎう)中学校

文部科学省の「キャリア・スタート・ウィーク」のモデル校として、3年間の研究事業を進める柳生中学校。生徒が自分自身を客観的に見つめることができるよう、学んだことや感じたことをデータやグラフで表現するなど、事前・事後指導に工夫を凝らしている。

「キャリア・スタート・ウィーク」のモデル校として取り組む

 柳生中学校は、2004年度から「総合的な学習の時間」にキャリア教育を取り入れ、「働くこと」をテーマに職場体験や地域貢献に取り組んできた。研究主任の藤井勝哉先生は、その背景をこう述べる。
 「本校の生徒は素直でおとなしい反面、受け身になりがちなことが、かねてからの課題でした。自分の進路や将来に真剣に向き合えるようにすることで、主体的に行動できる力を身につけさせたいと考えました」
 06年度に「キャリア・スタート・ウィーク」のモデル校になったあとも、狙いは同じ。1年生は「働くこと」についての多様な価値観に触れ、2年生は職場体験などを通して社会や地域貢献について考え、3年生では自分の夢や目標をイメージしながら活動する。働くことの意味を徐々に広げながら、最終的に自分の将来に引きつけて考えることが目標だ。
 1年生の活動は、家族や町の人へのインタビューが中心。近所や仙台市の中心街に出かけて、道行く人に働くことの意味を尋ね、働くことには多様な価値観があることを学ぶ。
 同校の特徴の一つは、学んだことや考えたことを、グラフや表など目に見える形で表現させる点だ。インタビューに使用するプリントも、生徒がイメージしやすいよう、「生活のため」「社会のため」「夢・目標のため」の3つの指標のレーダーチャートにした。これは年間を通して繰り返し使われる(図1)。
図1
社会人の話を聞きっ放しで終わらせないよう、生徒には、インタビューの内容をその都度リーフレットにまと めさせる。その際、グラフや表の形式を工夫し、生徒が学んだことを自覚できるようにしている
 「当初は『働くのは生活のため』と考える生徒が大半で、レーダーチャートの形もいびつです。しかし、学習を重ねる中で、次第に『社会のため』『夢・目標のため』という考えが芽生え、レーダーチャートがバランスのよい形になっていきます。図にすることで、自分の内面の変化を客観的に知り、職業観を深められます」(藤井先生)
 この手法は、2年生以降の講演会や職場体験などの活動でも活用される。

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