特集 データでひもとく学習指導の「いま」と「これから」
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【データで見る 授業の内容と進め方(2) 思考力・判断力・表現力等の育成】

「活用力」をイメージできず
その力を意識した指導は少数

国際的な学力指標の認知度は4割にとどまる

 中央教育審議会(以下、中教審)では、国際的に必要とされる学力を身につけさせる必要性を訴えている。国際的な学力の代表的な指標であるPISAの結果が07年12月に発表されたが、日本は疑問を認識する力や現象を説明する力など応用力が弱い点が明らかになった。

図1

  では、教師はこの国際的な学力指標をどのくらい認知しているのだろうか。図1は「PISAをどれくらい知っているか」を尋ねた結果だが、「よく知っている」「まあ知っている」と回答した教師は4割にとどまった※1。更に、PISA型学力を意識した指導を行っている教師は、全体の2割という結果だった。
 この現状に対して、「今回の学習指導要領改訂の考え方の背景としてあるのが、2000年代になって注目された学力調査の国際比較です。これはオリンピックのように勝ち負けの話ではなく、学力調査の国際比較の結果が、その国の将来性の基盤を示す指標の一つだと各国で捉えられるようになったことが大きい。そこで2000年代からどの国も『国家政策としての教育』を強く打ち出すようになりました。これは高等教育も含めた国の文教政策全般にかかわる問題であり、初等中等教育についても同じような問題意識が生まれています」(白梅学園大・無藤隆教授)と識者も言うように、PISAの本質的な重要性を理解する必要がある※2

※1 調査時期が07年8〜9月だったため、PISAの結果が発表された現在の認知率はこれよりも高い可能性があります
※2 無藤教授の記事はhttp://berd.benesse.jp/berd/berd2010/feature/index.htmlでご覧いただけます


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