明日から使えるICT講座

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▲講師 中川一史(ひとし)先生

独立行政法人メディア教育開発センター教授。数多くの小・中学校で指導・助言を行っている。

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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明日から使えるICT講座:第4回 情報モラル教育

ネットの功罪を子どもや保護者と共に考える

携帯電話やパソコンを通して子どもが巻き込まれる事件が頻発し、
情報モラル教育の重要性が叫ばれています。一方で、子どもの世界で何が起きているのか
大人には見えにくく、どのように指導したらよいのかわからない、という声もよく聞きます。
そこで、今、情報モラル教育を行う上で押さえるべきテーマを指導例と共に紹介します。

「人の嫌がることはしない」を授業で実感させる

 情報モラル教育は、一言でいうと「人の嫌がることをしない」と教えることです。パソコンや携帯電話の所持・使用の規制だけでは、抜本的な解決にはなりません。これらの使用を前提とし、気持ちよく使うために何が必要かを考えるのが大切です。
 授業で生徒自身が体験し、考えることで、現実の場面でも対応ができるようになるのです。授業参観などの機会を利用し、保護者にも一緒に考えてもらえるとよいですね。

     情報モラル教育で必ず押さえたい3つのテーマ

  【趣旨】 【指導例】






目的に沿って適正な情報を探し、活用できる能力を身に付ける。
  • 新聞/ホームページ作成
    新聞やホームページを作成する体験を通して、文章と画像の適切な組み合わせを学ぶ。視点が異なれば、同じ情報でも異なる印象の記事になることを学ぶ。
  • ディベート
    1つの話題を別の側面から主張することを練習し、視点の違いにより情報の受け止め方が異なることを学ぶ。


情報には作成者の権利があること、それを尊重することを知る。
  • 著作権とは何か
    著作権とはどのような権利かを知り、意見や文章、画像などの引用方法を学ぶ
  • 写真の撮影と利用
    人物の写真を新聞やインターネット上で使用する場合に気を付けなければならないことを知り、人格権・肖像権について学ぶ。






パソコンの画面の向こうにいる人の存在を意識し、配慮できる力を身に付ける。
  • メールの基本マナー
    携帯電話やパソコンのメール機能を使ってやりとりする場合の、相手を不快にさせない言葉遣いやファイルの正しい添付法、受信者の意向にかかわらず一方的に送られてくるスパムメールへの対処法など、基本的なマナーを学ぶ。
  • インターネットの迷惑行為
    学校裏サイト、ブログ、プロフ(自己紹介ページ)などの書き込みをきっかけとしたいじめ、言葉だけのやりとりから生じる誤解などの存在と原因を知り、対応の仕方について考える。
活用度UP! ワンポイントアドバイス

教科の授業の中でも情報モラル教育を!

 

 情報モラル教育は、「情報モラルの授業」として行うだけでなく、日々の教科の授業で具体的な活動をする際にも触れることが重要です。例えば、「総合的な学習の時間」でディベートを行うときに視点の違いにより情報の受け取り方が異なることを伝えたり、調べ学習をするときに著作権について考えさせたりすることが非常に有効です。
 また、情報モラルにおいては、「言葉」がとても大切です。メールや掲示板等でのやりとりも、「言葉尻」で問題が起こることが多いのです。各教科で言語、表現の大切さを教えることは、情報モラル教育でもあるのです。


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