特集 移行期間の課題と対策
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師の足並みがそろう「生徒中心」の目標設定を

――生徒を中心に据えるというお話が出ました。この点について詳しくお聞かせください。
田中 目の前の生徒の実態と課題を明らかにしなければ、移行期間にすべきことが見えてこないと思います。加えて、地方の小規模校では、地域特有の諸課題も乗り越えた上で、学習意欲や学習習慣の向上に取り組む必要があります。前任校の場合、多くの生徒が人前で話すことが苦手でした。そこで表現力を向上させようと、生徒はもちろんのこと、事務職も含めた全教職員が皆の前でスピーチする場を週2回設けました。大きな計画を作り、実行するには、全教職員の目的意識が一致していなければなりません。
村松 その取り組みは、小規模校だから出来たというわけではなく、教職員一人ひとりの意思疎通が出来ていて、生徒としっかり向き合っているから実現したのでしょう。学校教育の基本中の基本だと思います。本校でも、生徒を中心にして何を指導すべきか、タテ糸だけでなくヨコ糸も含めた全体計画を練り直しているところです。ただ、初めから細かく作り込むと負担が大きいため、教師が実行したことをその都度、未記入の計画表に書き込んでもらうようにしました。1年経てば計画が出来上がるという構想です。計画立案が目的ではなく、作りながらノウハウを蓄積していくのがポイントです。そうすれば、必ず、授業づくりのレベルが上がります。
谷合 教師の多忙感は、目標が見えずに働いている時に最も感じるものだと思います。本校の教師は「目標を持って、徹底的に動いている時は1日が短く感じる」とよく言っています。中期的な計画の達成に向けて、単年度の見えやすい目標を共有すれば、教師の足並みもそろいやすいものです。学問を追究する基礎、生きる意欲の基礎を養うのが義務教育の役割です。そのためには、新学習指導要領を土台として、「知・徳・体」の三つが調和した教育課程をつくり上げていくことが大切だと思います。
2012年度の全面実施に向けて、校長がすべきこと

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