特集 移行期間の課題と対策
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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より参加しやすい研修スタイルを目指して

 06年度は学習意欲を引き出すための授業方法の工夫に指導の焦点を当てたが、07年度はその基となる学習習慣の定着に取り組んだ。この過程で学習規律の徹底が必要だと分かり、08年度は「チャイムが鳴ったら着席する」「授業道具を用意する」「返事をする」「提出物の期限を守る」といった基本的な学習規律の遵守に力を入れた。
 焦点を更に絞るため、08年度は5・9・2月の3回にわたり生徒を対象に独自のアンケートを実施した(図2)。9月のアンケートでは太田市内の5校の中学校に協力を依頼し、他校との比較分析をした。これらの結果を踏まえ、前回と比べて落ち込んだ項目や他校と比較してポイントが低い項目を明確にし、授業改善に生かしている。
図2
「授業に関するアンケート」では、生徒に授業態度や意欲について質問し、授業改善に役立てる。生徒にとっては自己評価の機会にもなる
 「アンケートには『君たちにはこういう意識で授業に臨んで欲しい』というメッセージも込めています。08年度は教師のみでアンケート結果を共有しました。09年度は、生徒や保護者にも情報を公開したいと考えています」(高木先生)
 参加しやすい形にしたことで定着してきた校内研修だが、それでも生徒指導に追われてなかなか検討会に参加できない教師もいる。そこで、07年度からは「勝手に授業参観」という用紙を用意した。授業公開日でなくても自主的に授業を参観した教師がメモを記入するものだ
 高木先生は、「いつでも授業を参観できる仕組みがあれば、教師は『授業を見せて欲しい』と言いやすくなると考えました」と説明する。神部先生も、「教師が自由に教室に出入りできる環境にしたいという考えが根本にあります。生徒が『いろいろな先生が自分たちを見てくれている』と感じることは、生徒指導にも良い影響があるでしょう」と話す。
 移行措置が始まり、更なる多忙化が予想される09年度は、比較的時間を取りやすい夏休みに研修を充実させる予定だ。既に07年度から「番外編」として、夏休み中に3〜4人が模擬授業を発表する機会を1日設けているが、これを09年度は4回程度に増やす予定だ。発表は1回3人で、1人15分の発表と10分の意見交換を行う方法を考えている。
 同校の校内研修は、誰もが自主的に行っている。これがかえって、気負わず長続きする研修の実現に結び付いたと言えるだろう。

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