特集 家庭学習─机に向かう習慣づくり
東京都墨田区立吾嬬第一中学校

東京都墨田区立吾嬬第一中学校

◎1947(昭和22)年開校。校訓は「友愛」。2008年度の1年間、墨田区の「特色ある学校づくり推進校」の指定を受けて、「学習意欲の向上と家庭学習の定着」を実践研究。

校長◎田畑美香先生
生徒数◎147人
学級数◎5学級
所在地◎〒131-0043 東京都墨田区立花5-48-9
TEL◎03-3617-0248

田畑美香

▲墨田区立吾嬬第一中学校校長

田畑美香

Tabata Mika

橋本孝

▲墨田区立吾嬬第一中学校副校長

橋本孝

Hashimoto Takashi


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【学校事例1】〈実態把握〉〈学年別の指導〉〈家庭学習ノート・ワークシート〉

発達段階に応じ「課題をこなす」から
「自主的に学ぶ」家庭学習へ

東京都墨田区立吾嬬(あずま)第一中学校

学年ごとに抱えている課題や生徒の背景は異なり、それに合わせて指導も変わる。
墨田区立吾嬬第一中学校は、生徒の成長に合わせて自主的に学ぶ力を伸ばしていこうと、
学年ごとに家庭学習指導の手法を変えている。

取り組みの3つのポイント
「授業力の向上」と「家庭学習習慣の定着」の2つを柱に掲げ、学習意欲を高める指導を、学年単位で工夫する
1年生は決められた課題をこなすワークシート、2年生は自由に学ぶ家庭学習ノートと、発達段階を踏まえて指導する
生徒アンケートや学習到達度調査で実態を把握し、保護者の意識を勘案した上で、生徒に課す家庭学習の内容を決める

3年間かけて自ら学ぶ姿勢を育てる

 東京都墨田区にある吾嬬第一中学校では、生徒は落ち着いた学習環境で静かに授業を受ける姿勢が身に付いている。ただし、2007年度に行った教師の学校評価では、生徒は授業で積極性に乏しく、学習意欲に課題があると分かった。生徒対象の別の調査では、約6割が自主的な家庭学習に取り組んでおらず、家庭学習習慣そのものが身に付いていないことも分かった。そこで08年度から「学習意欲の向上と家庭学習の定着」を研究テーマに掲げ、実践と検証を続けている。
 田畑美香校長は、「授業の充実と家庭学習の定着は車の両輪のようなものです。学習意欲向上に最も重要なのは教師の授業力の向上ですが、授業についていくための基礎・基本を生徒が身に付けていることも大切。土台がしっかりしていないと、いずれは授業が分からなくなり、学習意欲が失せてしまうからです。しかし、授業だけで、すべての生徒に基礎・基本を定着させるのは難しい。そこで、家庭学習によって、授業についていけるだけの基礎的な力を身に付けてほしいのです」と話す。
 まず、区の学習到達度調査の結果や独自の復習領域テストの結果から生徒の学力を確認し、家庭学習に関する生徒アンケートを4、9、11月に実施。学年ごとに課題と指導の重点を教師間で共有した。そして、全教師による授業改善計画の発表や研究授業などを行って授業力の向上を図りつつ、学年ごとに家庭学習指導を充実させることにした。
 同校の家庭学習指導の特徴は、生徒の発達段階を踏まえていることだ。学年が上がるにつれ、生徒の自主性に任せる手法に移す。1年生では基礎・基本の定着に主眼を置いた課題を与え、2年生では自主的な予習・復習を中心とする(詳細は次ページ)。3年生では、高校受験を視野に入れた生徒各自の学習に加え、勉強に向かう意識の啓発にも力を入れる
 橋本孝副校長は、「いきなり『何をどうするのか自分で考えなさい』と突き放すのではなく、生徒に自主性を持たせるための仕組みを学校が用意したほうが効果があります。3年間かけて、徐々に自ら学びに向かう姿勢を育てていく方針としました」と話す。


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