特集 家庭学習─机に向かう習慣づくり
栃木県栃木市立皆川中学校

栃木県栃木市立皆川中学校

◎1947(昭和22)年開校。1学年約40人の小規模校で、少人数を生かした指導を実践している。2005年度より3年間、文部科学省の指定を受け、コミュニケーション能力育成と人間関係づくりを重視した小中一貫教育の研究開発に取り組んだ。

校長◎石嶋和夫先生
生徒数◎140人
学級数◎6学級
所在地◎〒328-0067 栃木市皆川城内町1856
TEL◎0282-22-1825

石嶋和夫

▲栃木市立皆川中学校校長

石嶋和夫

Ishijima Kazuo

小林伸彦

▲栃木市立皆川中学校

小林伸彦

Kobayashi Nobuhiko
3学年担任。理科担当

石川容子

▲栃木市立皆川中学校

石川容子

Ishikawa Yoko
音楽科担当

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【学校事例4】〈自主学習帳の活用〉〈学習週間〉〈生徒による啓発活動〉

自主学習帳と学習週間により
生徒主体で「学ぶ習慣」を定着

栃木県栃木市立皆川中学校

授業と家庭学習を合わせた「学ぶ習慣づくり」に力を入れる栃木市立皆川中学校。
教師だけでなく、生徒が運営する学芸委員会の活動で自主学習帳の提出率を高めるなど、生徒が自ら学ぶ意識を高めている。

取り組みの3つのポイント
自主学習帳を定期的に提出させ、家庭学習の定着を図ると共に、担任は生徒指導に生かす
定期テスト前は「学習強調週間」、学期初めは「学習訓練週間」とする。計画表などのチェックシートを用いて、生徒自身に家庭学習の振り返りをさせる
委員会活動の1つとして「学芸委員会」を設け、生徒自身が家庭学習の促進役を担う

自主学習帳で生徒の様子を把握

 皆川中学校は栃木市北西の田園地帯にある。1学年約40人、教師数12人の小規模校で、学校に対する地域の期待は大きい。校区は1小学校に1中学校で、子どもは9年間同じ仲間と育つ。生徒の人間関係が親密な分、位置付けが固定しやすいため、コミュニケーション能力の育成や、人間関係づくりを重視して指導している。その成果もあり、学校は非常に落ち着いていると、石嶋和夫校長は話す。
 「本校は1クラス二十数人なので生徒一人ひとりに目が届きやすく、また3年間持ち上がりで担任を受け持つこともあります。学習に向かう雰囲気づくりをしやすい本校だからこそできる教育をしようと、数年前から、学習意欲向上と学習態度育成を目標とした『学ぶ習慣づくり』を始めました」(石嶋校長)図1:皆川中学校の取り組み
 家庭学習に関する取り組みの柱は「自主学習帳」と「学習強調週間・学習訓練週間」だ図1)。
 自主学習帳は、毎日、宿題以外の一定量(ノートのページ数で換算)を学習するというもの。決められた日に提出して、担任によるチェックを受ける。全校で取り組むが、学習量や提出頻度は担任の裁量に任せられている。3年生担任の小林伸彦先生は、毎年、年度初めに生徒と話し合い、ルールを決める。09年度の担当クラスでは、1日1ページ相当で毎日提出し、提出率は月90%以上と決めた。
 「1、2年生の時は、提出率80%を達成できなかった場合、別に計算練習や漢字練習を課すきまりにしましたが、3年生では、そうしたきまりはなくしました。『受験に向けて勉強すべき今、罰則が怖いから勉強をするというのはおかしいのではないか』と呼び掛けたところ、生徒から賛同を得たからです。それでも、提出率は下がっていません」
 担任のチェックは、多くの場合、判を押す程度だが、生徒一人ひとりの学習の傾向、内容の推移などはしっかり把握し、生徒指導に役立てる。見続けることで、生徒の状態や生徒自身が課題であると感じていることが分かる。
 「普段は緻密に書き込む生徒が、漢字練習だけしかしてこなかったら、『何かあったのか』と声を掛けますし、好きな教科しか学習しない生徒にはバランスよく取り組むように指導します。毎日の学習内容から、生徒が自分の何をどうしたいと考えているのかが読み取れるので、生徒へのアドバイスを考えるのに役立ちます」(小林先生)
 08年度に2年生を受け持った石川容子先生は、次のように続ける。
 「生徒が家で何を学習しているのかは教師に見えにくいため、指導にも難しい面があります。その見えない部分に対して『提出する』という習慣付けができたことに、生徒指導上の意義があると思います」

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