「データで考える子どもの世界」
家庭学習 指導のひとさじ

奈良市立若草中学校

◎1947(昭和22)年開校。敷地からは東大寺大仏殿や二月堂といった世界遺産が望める。「完遂」「創造」「連帯」の校訓の下、「あなたならできる」を教育目標に掲げ、心・学び・仲間を育む学校づくりを目指す。


■校長:黒田八郎先生
■生徒数:434人
■学級数:14学級(うち特別支援学級2)
■所在地:〒630-8113 奈良市法蓮町1416−1
■TEL:0742-26-3273
■FAX:0742-26-3274
■HP:http://www.
naracity.ed.jp/wakakusa-j/

佐貫正彦

奈良市立若草中学校

佐貫正彦

Sanuki Masahiko
研究推進委員会委員長。 理科担当。3学年担任。

的場宏純

奈良市立若草中学校

的場宏純

Matoba Hirozumi
研究推進委員会委員。 理科担当。2学年担任。

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 1/2 次ページ

家庭学習 指導のひとさじ:奈良県 奈良市立若草中学校

「学習のガイダンス」と「家庭学習の記録」で
家庭学習時間を増やす

「生徒の学力向上には学校内の指導だけでは限界がある」と感じ、学校独自の家庭学習の手引きを作成した奈良市立若草中学校。
家庭学習の実態を調査して目標時間を設定したり、定期テスト前の「学習計画と記録」を張り込めるようにするなど、生徒が活用しやすいよう様々な工夫を行っている。

家庭学習時間と成績の関係を調査し、目標時間を設定

 奈良市立若草中学校は、長年にわたり授業改善に力を入れてきた。ここ数年は文部科学省や奈良市教育委員会の研究指定を受け、教師全員参加型の授業研究を行うなどの取り組みを進めてきた。しかし、研究推進委員長の佐貫正彦先生は「生徒の学力や家庭学習への姿勢の二極化が顕著になり、学校内の指導だけでは限界を感じていた」と語る。
 「生徒は授業中にノートをきちんと取っていますが、『形だけ』の生徒も多いように感じていました。実際、成績下位層の生徒からは『復習やテスト勉強の仕方が分からない』という声が聞かれました。授業改善に加え、家庭学習の方法もしっかりと指導する必要性がありました」
 そこで同校は、2007年度から家庭学習の指導を強化。まず、家庭学習の手引き「学習のガイダンス」を作成した。各教科の学習法を出来るだけ具体的に記すと共に、客観的なデータを示しながら、家庭学習の大切さを生徒に伝えていることが特徴だ図1)。例えば、1日の目標学習時間は「平日2時間、テスト前4時間」としたが、これは実際に生徒の学習時間と成績の相関を見た結果だという。
図1 家庭学習時間の推移と成績の相関図

図1 家庭学習時間の推移と成績の相関図

テスト前の家庭学習時間と、中間テストの5教科合計の平均得点を計算してグラフ化。07年度1 学期の調査では、1週間の家庭学習時間が7時間未満と14時間以上では、得点の差が100〜200点もあることが分かった
 「07年度の1学期中間テストの前と後の各1週間、家庭学習に関する調査を実施しました。すると、ある一定時間までは家庭学習時間に比例して、成績が右肩上がりに伸びていたのです。調査から『効果を生む最低学習時間』が明らかになり、『これだけ家で勉強すれば、成績は伸びる』という、生徒にも納得感のある目標を設定出来ました」(佐貫先生)
 また、調査では、テスト勉強の計画を立てた生徒は成績が良い傾向にあることも分かった。そこで、計画的に勉強に取り組ませようと、定期テスト前の学習計画を書かせるシート「学習計画と記録」を作成した
 「テスト前2週間は毎日、実際に取り組んだ学習内容と学習時間を記録させ、翌日に提出させました。毎日担任がチェックし、学習時間が少な過ぎる生徒や、特定の教科ばかり勉強している生徒には声を掛けるようにし、学習スタイルを確立させるのがねらいです」(佐貫先生)
 こうした取り組みの結果、テスト前1週間の家庭学習時間は、1学期から2学期の間に、全学年で増加。特に3年生は3.1時間も増えた。

   PAGE 1/2 次ページ
目次へもどる
中学校向けトップへ