特集 新課程対応─時数確保のひと工夫
奈良県川西町・三宅町式下中学校組合立式下中学校

奈良県川西町・三宅町式下中学校組合立式下中学校

◎1949(昭和24)年開校。校舎は川西町、校庭は三宅町と、校地がまたがる両町唯一の中学校。校区には観世流能楽の発祥地があり、伝統文化の教育に力を入れる。部活動を重視し、特に陸上競技部は全国レベル。

校長◎田中和臣先生
生徒数◎402人
学級数◎14学級(1年生4、2年生4、3年生4、特別支援学級2)
教職員数◎校長1人、教頭1人、教諭22人、講師6人、職員等3人
所在地◎〒636-0202 奈良県磯城郡川西町結崎1866
TEL◎0745-44-0039
URL◎http://www.
shikige-jh.ed.jp/

田中和臣

▲川西町・三宅町式下中学校組合立式下中学校校長

田中和臣

Tanaka Kazuomi


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【学校事例2】

荒れのない学校づくりへ
「体験」を重視しつつ行事を精選

奈良県川西町・三宅町式下(しきげ)中学校組合立 式下中学校

奈良県磯城(しき)郡の川西町・三宅町式下中学校組合立式下中学校は、選択教科を活用して、体験活動と学力の定着を両立させる教育課程を組む。
全面実施後の計画を見据えつつ、落ち着いて教師が指導し、生徒が学べる学校づくりを実現している。

体験的な学びの機会を教育課程に意図的に盛り込む

 奈良県北部の田園地帯に位置する式下中学校の生徒は、昔ながらの農村部の純朴さを持っている。かつてはいわゆる荒れの問題を抱えていたが、10年ほど前から落ち着きを取り戻し始め、特に6年前から生徒は目に見えて変わっていった。そのきっかけは、ノーベル化学賞を受賞した野依良治氏を招いた講演会だった。当時教頭を務めていた田中和臣校長は、次のように振り返る。
 「講演会を開いたのは、小さな社会で生きている生徒の意識を外へ向けさせ、荒海を乗り越えて泳いでいくエネルギーを与えたかったからです。同時に、講演会の運営を生徒に任せ、活躍の場にしようと考えました」
 講演会の準備を行う生徒を募集したところ、100人近くの生徒が手を挙げた。講演会当日、普段は教師の話を姿勢を崩して聞いている生徒が、自然に背筋をぴんと伸ばして聞いていたという。
 「生徒を変えるには、この手があったかと衝撃を受けました。『教師が与えて、やらせる』教師主導型の指導ではなく、生徒に自主的に取り組ませる活動を、教育課程に意図的に組み込むことが大切なのだと気付きました」(田中校長)
 生徒も教師も目標に向かって安心して努力でき、二度と荒れの起きない学校にするために、生徒が主体的に取り組める体験活動を重視する―これは、同校の教育課程編成方針の土台となっている。
 最も象徴的な例は、選択教科の積極的な活用だ。箏(こと)や合気道など心や体を動かす活動や、ものづくり、近隣の幼稚園への訪問など、体験的な学びの機会を保障している。3年後の全面実施時に選択教科は無くなるが、それまでに蓄積したノウハウや資産を生かし、各教科の単元に内容を移して指導することは十分可能だという(P.11)。
 同様の観点から、部活動や行事も重視する。行事は、時数確保の観点から精選せざるを得ない状況だが、単に減らすようなことはしない。入学直後の集団学習の日数は逆に増やすなど、近年の生徒の様子を見て臨機応変に対応している(P.14)。

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2010(平成22)年度の教育課程(予定)
図:2009(平成21)年度の時間割 2年1組の例

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