家庭学習 指導のひとさじ
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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単元単位で考える教材開発は教師の力量向上にも結び付く

 「学習ガイド」は生徒に大きな変化をもたらした。導入前後の生徒の意識変化を見るためにアンケートを実施したところ、導入後に成績の上がった生徒の多くが「学習ガイド」によって「どのように勉強すればいいのかが分かった」「自分の学習内容の理解度を把握出来た」と実感していた。予習・復習以外の家庭学習をする生徒も増え、成績が伸びた生徒の中でも成績下位層だった生徒が、「学習ガイド」により強い有用感を持っていることが分かった。
 授業の進め方も大きく変わった。
 「『学習ガイド』作成のために、今まで以上に自分の教科についてじっくり検証しました。事前に単元全体を考えますから、授業のイメージも出来上がり、ガイドを軸に見通しを持った計画的な授業を展開出来るようになりました」(湯浅先生)
 07年度には、ペアやグループでの学び合いの機会を取り入れることで学習意欲の育成を図る「協同的な学び」の研究が始まった。更に、08年度からは、活用力を育むため、レポートや新聞などの作品やプレゼンテーションなどを評価する「パフォーマンス課題」を加えた「単元指導計画」の開発に着手した。
 「『学習ガイド』の作成によって単元単位で考える素地が出来ていたため、今回の研究開発にはスムーズに取り組めました。結果的に、指導力の向上にもつながる取り組みだったと思います」(湯浅先生)
 「学習ガイド」は、機械的に学習量を課す問題集ではなく、心構えを説くだけの手引きでもない。教師の手の内を適切に「種明かし」することによって生徒の意欲を引き出すツールなのだ。

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