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特集 大学改革の現在地 五つの視点から

【トピックス】
入試改革先導校の次なる挑戦は
論述型などによる学力の担保

立命館大学

■量的拡大と質的確保を両立

 この10年余、入試改革の牽引役を担ってきた立命館大学の小畑力人入試部長は「本学の入試多様化路線は十分に成功し、量的拡大と質的確保を同時に達成できた。多様化入試という手法の中で高い学力と様々な資質を持つ学生を入学させ、大学が活性化したことは間違いありません」と話す。
 同大学の入試改革は1989年度にスタート。伝統的な3教科入試に加え、論文を課す方式や文系で数学を必須とする方式などが登場した。その後毎年のように新方式を加えつつ、全国に試験会場を設け、5年間で志願者を4万5000人から10万人まで増やした。一方で理工学部の学科増、インスティテュート、海外大学とのデュアルディグリー制度、学部新設などの教学改革を推進し志願者確保と大学の質的向上を連動させた。
 小畑氏は「志願者数は大学に対する各界の支持のバロメーター。受験生や高校から選ばれることは中身を評価してもらっているということ」と説明する。

■4教科入試などの導入へ

 同大学はAO入試についても独自の方式で実施している。1999年度の開始当初は法学部を除き全学部共通の自己推薦方式で実施していた。2001年度からはその方式に加えて、各学部・学科独自の方法によるAOを導入した。学部・学科ごとに必要な能力、将来の進路に関わる力を総合的に判断するためで、アドミッション・ポリシーの明示と具現化を効果的に行っている。
 現在、同大学の入試の課題は「学力の担保」だという。多様化の一環である少科目入試はこれまで、高校の指導要領で他の科目もしっかり履修しているという前提があった。しかし、新指導要領や高校の多様化によりその前提が崩れかけている。同大学は2002年度入試から、学力を保証するために、文系「英・国・数・社」、理系「英・数・理・国」の4教科入試を導入する。また、「3教科論述型入試」も実施。文系「英・数・国」、理系「英・数・理(物・化必須)」で試験内容を論述中心にする。2教科型は整理・統合の方向だ。
 多様化路線を堅持しつつ学力低下を防ぐ仕組みづくりが次の一歩となる。受験生の敬遠を恐れず、他大学をリードして多教科化に踏み切ることは勇断といえる。

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