|
企業が求める人材像とは？ 採用の決め手になるのは何か。そして大学はどんな対応をしたらいいのか……。採用にあたっての学生を評価するポイントや、学生に望む姿勢について、企業4社の採用担当者に話し合ってもらった。
出席者
東陶バスクリエイト（株） 総務部総務課長 岩中 弘暢
日本軽金属（株） 広報・IR室 島田 一雄
日本電気（株）NECエレクトロンデバイス 人事部人事マネージャー 片桐 淳
（株）博報堂 人事局スーパーバイザー 秋澤 靖
司会『Between』編集長 足立 寛
|
 |
新卒採用の現状と学校推薦の変化
|
司会 業界によって違いはあると思いますが、まずは近年の新卒採用マーケットについてお聞かせください。
片桐 わが社は大きく三つのカンパニーに分けられ、私が在籍しているところはNECの半導体などを扱っている部門です。従って採用も技術系が中心になります。技術系では、近年、大学院からの採用が増えていて、全採用数の半分以上を占めています。また、技術系の大学にはまだまだ推薦という制度が残っていて、NECでも推薦は多いです。
岩中 TOTOでは、技術系は設計、開発、あるいはコアになる素材作りという技術を担当する人を採用しています。文系はほとんどが学部生の採用で、営業職が中心です。技術部門での採用となる理系は、やはり院卒が多く、そのうち推薦での採用がかなりの比率を占めています。
島田 日本軽金属は採用人数が少なく、毎年20人弱しか採用していません。技術系についてはやはり院卒が目立ちます。うちはアルミニウムの会社ですが、金属系の学生は、入学したときから就職先がある程度限定されるので、比較的やりたいことが決まっている人が多いですね。事務系については、インターネットからのエントリーで、基本的には全員にお会いしています。
司会 技術系で院卒が中心になっているのは、どんな理由があるのでしょうか？
片桐 会社が必要とする技術の特殊性にあります。半導体技術の場合、研究設備の関係から大学で学べる範囲は限られています。実際に必要な技術は会社に入ってから学んでもらい、育ってもらうことになります。しかしその際にはベーシックに必要なスキルや技術というのは身に付けてきてほしいので、どうしても大学よりも2年間、勉強や研究を深めた院卒の学生の方が有利になるわけです。
岩中 最近、面接などで感じることは、自分自身のキャリアに対して非常にポジティブに考えた上で就職を希望している人と、大学4年間、また大学院でも流されて過ごしている人がいて、どちらかというと流されている人の方が目立ちます。かなり鮮明に二極化しているようです。話を聞いてみると、中には大学院へ進むよりも4年で卒業して企業で実務に取り組んだ方が伸びるのではないかと感じる学生もいます。そういったことを大学側が本人に気付かせることも大切だと思います。
片桐 大学4年間だけでは、自分たちで何か開発したり、創造力を生かして物を作る経験は少ないと思います。大学院に進むと、エンジニアや研究者に近い経験ができるのですが、やはり具体的にやりたいことがあって進学した人と、そうでない人がいると感じます。
司会 技術系は推薦が多いということですが、推薦での採用はどのような流れになっているのですか？
片桐 NECでは現場の管理職がかかわっています。大学の先生、例えば学会などでつながりのある先生に「いい学生がいたらぜひご推薦ください」という感じですね。
司会 理系の場合、大学院からの採用は大学としてというよりも、○○先生の研究室というつながりが関係してくるということでしょうか？
片桐 そうですね。
司会 TOTOのホームページを見ると「一部の技術系の学校には学校推薦を依頼」とあります。これはどこの企業でもやっていることですか？
岩中 多いと思います。以前と比べて変化しているのは、学校からの推薦の拘束力です。以前は学校推薦で内定をもらったら、本人が断ることはなかったのですが、最近は断るケースも出ています。
島田 昔は先生に「ここの企業に行くといい」と言われれば、断れなかったと思います。しかし最近は、企業も大学に頼るばかりではなく、インターネットの普及もあって、ずいぶん応募方法も変わってきています。例えばサイト上の募集要項に「大学の推薦はいりません。採用希望者はこういう職種ですから応募してください」という形で、直接意欲ある学生にチャンスを与えるケースもあるようです。
|
|
|
企業が求める人材像とは？
|
司会 入社してほしい学生は、どのような人でしょうか？
片桐 簡単に言うと「ポテンシャルのある人」ですね。つまり、基本的に頭の回転の速い人、順応力のある人のことです。これは事務系も技術系も同様です。
島田 明確に掲げている人材像はないですが、採用の際に見る点が二つあります。一つは読み書き、計算といったベーシックな能力。これを一定以上クリアしていないと、入社後に本人が苦労するからです。もう一つは、価値観の問題。日本軽金属の顧客は基本的にリピーターです。営業職は、お客様と、いかに信頼関係をつくれるかということが重要です。それは会社の中でも同じことで、自分の部署はもとより工場や研究所のスタッフと信頼関係をつくれないといい仕事はできません。そのためには「人との信頼関係を重視する」といった会社の中でみんなが漠然と持っている価値観を共有できるかどうか、という点が重要です。
岩中 TOTOではここ数年、求める人材像として大きく三つを掲げています。
一つはプロフェッショナルであること。道を究めようとする志向が強い人です。
二つ目はチャレンジャーであること。事業の展開が多様化し、社会は目まぐるしく変化しています。例えば、従来の衛生陶器から電気的な機能を備えた商品も多くなり始めたので、家電業界も競合として考えなくてはいけない。そのように新しい事業展開をするときにリスクを背負ってでも進んでいくチャレンジ精神が大切です。
三つ目は商売人という感覚を持った人。これら三つに対して、素養のありそうな人かどうか、伸びていく確率が高そうな人かどうか、そういう見方をしていますね。
秋澤 博報堂は広告関係なので、みなさんとは少し違いがあります。どういう能力を重視するかというと、一つはコミュニケーション能力です。お得意先のさまざまなニーズを的確にくみ取ることが重要ですから。もう一つは情報収集力。いろいろなものを知っているか、いろいろなことに対して好奇心があるか、ということを見ていますね。また、技術系のように大学で学習した内容を即戦力として評価することはあまりありません。例えば「大学でマーケティングを専攻していました」と言われても、商売のマーケティングと学習のマーケティングはだいぶ違いますから。
司会 NECの事務系、技術系の傾向はどうですか？
片桐 ここ最近、文系、つまり事務系の仕事に要求されることは急激に変化しています。今は海外企業が相手ということもありますので、24時間世界が動いている中で、取引先が何を考えているのかをつかむ必要があるなど、グローバルな視点で対応できる感覚が必要です。つまり、ある一つの専門職ではなく、事業全体に「経営」というミッションがあり、その中の一部を担当しているくらいの認識で仕事をしてもらわないと困るわけです。それは経理や予算、人事など、すべてに要求されることです。
技術系は「なぜ開発が好きなのか」「なぜエンジニアになりたいのか」という点がポイントです。物を作り出したいという欲求や好奇心が非常に強く、それが好きな人であることが大前提です。
司会 最近の学生は基礎学力が落ちたといわれていますが、技術系でも感じますか？
島田 個人差が激しいですね。同じ適性試験をしても、昔は理系の方が点数が高く、文系の方が低いという絶対的な傾向がありましたが、今はない。理系でも低い人はいるし、文系でも高い人はいます。
片桐 それは一概には分からない部分があると思います。というのは、すべての学生が応募しているわけではないし、平均的な学生が応募しているわけでもない。企業側も時代のニーズに合わせて業務形態を変化させていますから、毎年同じようなレベルの学生が応募しているかというと、恐らく違います。ですから同じととらえて比較をするのは難しい。
また、毎年、求人全体の幅が非常に変化していることも理由の一つです。外資系が増えたり、技術系でもコンサルティング関連の会社がどんどん増えている時代ですから、学生がどういう就職先を希望するかも変化しているわけです。これまでだったらわが社に応募したであろう学生にも変動が生じているでしょうから、採用する年にどういう学生が応募しているのかは、実はよく分からない。つまり、全体的に学力が低下しているのか、たまたまその年に応募した学生が低かっただけなのかは、一概に言い切れない部分があると思うのです。
|
|
|
欲しい人材を最終的に判断するのは面接
|
司会 優秀な人材はどのように見分けていますか。例えば先ほど、秋澤さんから「コミュニケーション能力と情報収集力のある学生」を望むとありましたが、それはどうやって見分けるのですか？
秋澤 基本的に面接を重視します。できる限り多くの人と面接をし、その評価が最大の選考基準です。
司会 筆記試験は行わないのですか？
秋澤 一応行いますが、例えば試験が満点だから面接が少々悪くても採用する、ということはないです。
司会 面接での質問内容が重要になりますね。
秋澤 はい。ただし、質問の回答には正解があるものではないので、どんな切り返しをするのか、的確に答えられるかなどがポイントになります。面接の目的の一つは学生の個性や芸風を見ること。それが見えてこないと、入社したらどういう営業になっていくかなど、イメージができないからです。
島田 見分け方というのは難しいですよね。うちは素材メーカーなので、現場でやりたいことを実現するまでに時間がかかります。「明日実現しなくてもあきらめずに保温できる」という意識がないと駄目なんです。学生にはとにかく何回も会います。瞬発力も重要ですが、それを生かすためには持久力が必要なので、自分の思いを温存できる人でないと、会社に入ってからやっていけません。それを判断するために、何度も面接を行い、一人の学生を長く見てから評価します。
司会 エントリーシートに何か工夫をしていることはありますか？
秋澤 記入させる部分にかなりボリュームがあります。しっかり深く物事を考えることができるかを判断するためです。
岩中 TOTOではエントリーシートの最初にわが社への感心の度合いを書かせています。そこからうちの仕事が本当に好きになれるのかどうかを見ます。
それから、会社が求めている人材像に到達する可能性があるかどうかもエントリーシートで見ます。具体的には、問いの中で「これまでどんな行動をとってきたか」「どんなことを学んできたか」という項目があり、それについてどんな目的意識があり、どんな工夫があるのかを見ています。
司会 エントリーシートの中である程度優秀な人材を見分けるということですか？
岩中 そういうわけではなく、あくまでも可能性としてとらえています。一番重要なのは面接です。筆記試験も行いますが、それは一定ラインを見るためのものです。面接はじっくりと時間をかけて、掘り下げた話をします。どこまで深く考えて行動してきたのかを確認することによって、会社に入っても同じように行動ができるかどうかを見たいのです。
司会 質問は大学時代に限ってのことですか？
岩中 今まで力を入れてきたことを、大学時代に限らず聞きます。大学時代に限定するよりも、一貫した行動パターンがあるかどうかが見えてきますから。
司会 技術系の採用では、エントリーシートはどんな見方をしていますか。
片桐 大学でどういうことをやってきたのかを見ます。例えばコンピュータのスキルレベルで、Javaの経験が何年あるかといった内容です。エントリーシートは人事担当が見るよりも、現場のエンジニアたちに見せた方がよく分かる。彼らはエントリーシートに書かれていることを見れば、すぐに技術的なレベルが分かりますから。
司会 指導教員の名前を見ただけでも分かるのでしょうね。
片桐 何をやってきたのか、だいたい分かりますね。しかし、最終的に決定を左右するのは、やはり面接です。
|
東陶バスクリエイト（株） 総務部総務課長 岩中 弘暢 氏
|
|
大学と企業が密に調整し有意義なインターンシップを
|
司会 インターンシップはどう評価していますか。
片桐 今の状況では、学生も企業もインターンシップをうまく活用できていないと思います。学生の目的もはっきりしていない。企業側も学生に対してどこまで何をやってあげたらいいの分からない。本当はいい機会なんですよ。いい機会なのですが、企業は慈善事業をやるわけにはいかない。できることなら、きちんと仕事をさせて、お金を払って実施すればいいと思っています。しかし、そのような形でインターンシップを行うとしたら、保険や労災の話など、いろいろな問題を整備する必要があり、そう簡単にはできない。現状で受け入れ人数を増やせと言われても、正直言って難しいものがあります。
島田 海外ではインターンシップが社会的制度になっていて、企業がそういう機能を持つべきだ、という感覚があるようです。しかし、日本で今からその制度を始めるのは厳しいでしょう。
例えば、わが社に金属関係の学生が来るとします。極めて専門的な知識のある人が、会社に何週間もいるということは、将来、その学生が別の会社に行ったときに機密保持という問題も発生しますから、大学側ともきちんと契約的なことを交わす必要が生じてきます。
岩中 会社を知ってもらう一つの方法と割り切ってしまう考え方もあると思います。しかし、目的を明確にして、お互いメリットになるような形でできるのなら、単に割り切ってしまうより、もちろん有意義に実施した方がいい。
目的を明確にしたインターンシップを行うとしたら、事前に大学と綿密なやりとりが必要でしょう。学生側も企業に行く意味を認識しないといけない。時間と費用をかけて行うのであれば、その先々も踏まえて大学といい関係を築きたいですよね。
秋澤 博報堂はインターンシップを始めてまだ2年目です。大学からではなく公募制で、エントリーシートを基に面接をした上で、学生に来てもらいます。面接といっても採用の面接と違い、広告業界に興味を持っている人に来てほしいということで、受け入れ枠を超える場合は選考させてもらっています。内容はキャンペーンを作る作業などの疑似体験といったもので、学生にとっては、大学のゼミでのグループワークに近い感覚なのではないかと思います。
|
日本軽金属（株） 広報・IR室 島田 一雄 氏
|
|
大学も国際競争を意識すべき
|
司会 大学のキャリア支援の在り方として、希望することはありますか？
片桐 もっと諸外国の現状を知るべきです。例えば、設計というと一般的には図面を思い浮かべると思いますが、今はソフトウエアでC言語を使用して書きます。言語で書いたものを変換して設計図を作るのです。いつでもどこでもパソコン一台でできてしまう。アメリカや中国などでは学生がベンチャー企業を起こすわけです。しかし、日本では院卒で入社しても、もう一度一から企業に合わせた勉強をしないと通用しないケースが多い。この状況で、世界に勝てるかというと疑問です。
司会 国際競争という点で大学にはどんな教育を望みますか？
片桐 エンジニアを目指す人には、大学でベンチャーの起業を目指すための教育をしてほしい。それは平たく言えば、どうやったらもうけられるかを教えればいいんです。未知の領域に挑戦するという科学の本質的な精神も重要ですが、大学時代に、ビジネスの発想が育たないと、スタート時点で国際競争に遅れをとってしまいます。
司会 つまり、大学自体ももっと国際競争力を持った方がいいということですね。
片桐 はい。絶対必要です。
司会 それが実は強力なキャリア支援ということにもなるのでは？
片桐 そうです。大学はもっと外に目を向けるべきです。諸外国には国とセットになって動いている大学が多くあり、企業と一緒に取り組む大学も日本よりはるかに多い。競争力をグローバルな視点で考えられる大学でないと、いい人材は育たないのです。
|
日本電気（株）NECエレクトロンデバイス 人事部人事マネージャー 片桐 淳 氏
|
|
深く取り組んだ体験には資格取得よりも説得力がある
|
司会 資格はどう評価していますか？
岩中 資格を取ったことを直接評価するというよりも、どういう目的で取ったのかを聞きます。就職するために資格を取った、というレベルであるならば、あまり重要視はしません。
島田 資格が就職の武器として使えるのは、極めて限定された職種だけではないでしょうか。
片桐 英検やTOEFL、TOEICは参考にします。英語はもちろんできた方がいいですから。
司会 資格に代わって、具体的に大学で行ってきたことを評価する例はありますか？
秋澤 例えば、体育会の学生で剣道日本一や柔道日本一といった経歴のある人は分かりやすいと思います。そこまで上り詰めて実績を挙げた経緯から、その人の仕事に対する姿勢が想像できるからです。それだけで採用することはありませんが、何かの資格を持っているということよりも分かりやすい。
司会 そういう学生は入ってからも頑張る姿勢が違いますか？
秋澤 彼らは一流を知っているので、目指す目標が高いというケースが多くあります。考え方や読み書きなどの基本的な力とのバランスも大切なので、そのバランスがとれていれば、総合的に評価します。
岩中 同様に、何かをやり遂げようとしたときのプロセスにも興味があります。また、困難にぶつかったときの話、それをどう乗り越えたかなどの話も興味深いですね。「本当に苦労した」「壁を乗り越えた」という自覚がある人は、漠然と対処したのではなく、後から振り返ってみて、そのときの行動を一つ一つ意味付けして語れます。そのプロセスの違いで評価することもあります。
司会 大学側は資格を取ることよりも、具体的な何かを頑張り、やり遂げることが大事だと学生に気付かせる必要がある、ということでしょうか？
岩中 そう思います。ただ、そういう行動特性的な部分は、もしかしたら大学入学以前に形成されるのかもしれませんが。
|
（株）博報堂 人事局スーパーバイザー 秋澤 靖 氏
|
|
学生自身の意欲や興味を育てる教育が必要
|
司会 大学時代を有意義に過ごすためには、大学はどうしたらいいでしょうか？
岩中 学生自身が「自分はこういうことに一生懸命取り組んだ」と言えるような、何か具体的な興味に挑戦するきっかけを与えてもらいたいです。学生はどれだけ意味のある過ごし方ができるかを考えてほしい。まず、学生に気付いてもらうことが必要だと思います。
秋澤 「気付き」のサポートはいいですね。例えば、「休学して1年間海外で働きました」というような、大学生活から離れた経験のある学生は「気付き」ができているケースが多いような気がします。浪人した学生もそうかもしれませんが、大学以外の世界を知っているかとか、世代を超えたコミュニケーションの経験が豊富とか、面接などでは比較的よく分かります。
片桐 似たようなケースで、たくさん採用する中に、時々毛色の違う人っていますよね。
例えば、就職したけどやりたい仕事ができなくなったので会社を辞め、学校に戻って勉強し、また社会に出たような人。そういった人は考え方がしっかりしている場合が多いです。それから、ソフトウエアのコンテストに出したら1等になった人とか。必死でやったのではなくて、趣味でやったらたまたま1等だったという感じで、軽く言うんですね。そういう「気付き」ができている学生には興味があります。
秋澤 大学で何かをするということも必要かもしれませんが、大学という枠の外でチャンスを与える仕組みがもっとあってもいいのではないかと思います。例えば大学主催で海外の企業に1年間インターンシップを体験させて、単位を与えるとか。
島田 自分の好きなものを見つけられる学生も「気付き」ができていると思います。「好き」というのは時間も気にせずに没頭できるようなことを具体的に持っていること。そういう人はほっておいてもいい。問題は「好き」を見つけられない人。今の大学生は忙しくて「好き」を見つけられない人が多いのではないかと思います。それに対して大学側は、ゼミや研究室で好きになるかもしれないことを、いくつか用意してあげてはどうでしょう。
例えば「企業のブランドイメージを調べる」とか、特別難しい内容でなくても、真剣に取り組んで、どこかで発表する機会を与える。特に文系の学生は、卒論のときに口頭試問がないので、プレゼンをして評価を受ける経験が少ないですから、こういった体験は社会に出ても役立つはずです。
司会 ほかに何か大学側に望むことはありますか？
島田 いかに充実した学生生活を送ることが大切かということを、学生自身に考えさせてほしい。
例えば1年生に4年後の就職活動時に必要なテクニックを教えるより、「明日の学生生活をよくするためには」というテーマで「学生生活概論」のような授業があってもいいと思います。自分で「好き」が見つけられない学生にはそういうサポートも必要です。
司会 学生自身が充実感を伴った、意味のある4年間を送ることが大切、ということですね。その体験が本人の主体性や、物事に取り組む姿勢を深め、社会人としての適性につながっていくのでしょう。
|
＞トップへもどる
＞大学・短大トップへもどる
＞バックナンバー |
