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46カ国・地域の252大学と提携を結び、交換留学制度を実施している関西外国語大学は、短期留学生として約500人の交換留学生を受け入れている。質が高く多彩な日本学・アジア学のプログラムと、日本理解を促進するホームステイ・プログラムが、多くの留学生を引きつけているようだ。
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交換留学制度による双方向性の国際交流
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関西外国語大学の外国人留学生受け入れの歴史は古い。開学間もない1968年にアメリカのアーカンソー大学から教員・学生19人を招いたのが始まりで、その後71年に交換留学制度をスタート。以来30年以上にわたって、一貫して海外提携校を増やす努力が続けられており、02年9月時点で新たな提携校3カ国3校を含め、46カ国・地域252大学を数える。
同大学はこれら提携校との間で、昨年度、1234人の学生を海外に派遣する一方で、486人の留学生を受け入れている（図表）。02～03年度はさらに増えて550～560人の受け入れになると推計される。
こうした規模について山本甫国際交流部長は「もちろん本学で学んだ留学生が全世界に散らばり、日本への理解の大きな原動力になってほしいとの思いがあります」と話す。同時に、留学生を多く受け入れることで、日本人学生が学内で異文化体験をし、価値観の違いを理解できる。まさに日本に居ながらにして国際性を学ぶことになる。
しかし、山本部長はそれ以上に「留学生を受け入れることにより、本学の日本人学生が海外のいろいろな大学に行ける大きな道を開いていること」が交換留学制度のメリットだと強調する。
例えば、日本全体ではアジアの国々からの留学生が大多数を占める中で、日本人留学生の主たる行き先である欧米からの留学生は少ないのが現実だ。しかし、同大学の留学生は北米の大学からが63.8％、ヨーロッパからが16.5％と、欧米出身者が約8割を占めている。アジアよりも欧米からの留学生が多いという事実からもわかるように、「双方向性の国際交流」が同大学の目指すところなのだ。
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提供プログラムの質の強化・維持が最重要
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交換留学を基本とする同大学の留学生は、学位取得を目的としない1学期（4カ月）ないしは2学期（9カ月）の短期留学である。山本部長はこの短期留学こそが本来の国際交流のバロメーターになるのだと言い、その理由を次のように説明する。
「短期留学は基本的に自分の大学に在籍したまま外国の大学に留学し、修得した単位を在籍大学で認めてもらうものです。よって、わざわざ外国の大学に行くからには、その大学の単位が在籍大学の単位に互換できるだけの価値がなければ成立しません」
実は、同大学も交換留学を始めたばかりの頃はプログラムが脆弱で、提携校から「こんな内容では、たとえ日本に学生を送ったところで帰ってから単位として認定できるものではない」と酷評されたことも多々あったという。
海外からの留学生は、8月末から12月末を秋学期、1月末から5月末を春学期と称する留学生別科に所属する。欧米と同じ学年暦を採用しているのは、留学生の受け入れをスムーズにするためだ。
同大学の留学生別科は大学進学のための日本語を教えることを目的としていない。Asian Studies Programと称するように、大学3年レベル以上の日本学、アジア学関係の科目が教えられている。例えば「日本における企業財務」や「アジア金融危機」「東アジアの政治経済学」「日本の歴史」「日本の食文化」などだ。
提供科目数は、02年秋学期だけで46科目。日本学、アジア学で学部レベルの学位を授与する世界のどの大学よりも開講する科目数ははるかに多いという。欧米からの学生が「自分の大学では開講されていない科目がたくさんある」と語ることもしばしばで、カリキュラムの豊富さは留学生にとっての魅力の一つになっている。
授業は、別科で採用された教員によって英語で行われる。教員数は現在、日本語の専任教員が11人、それ以外の日本学、アジア学の専任教員が12人で、非常勤、客員を合わせると全部で39人。
またその採用にあたっても、模擬授業を行い、教員や学生の批評を受けるなどの厳しい審査が行われる。さらに、日頃の授業についても学生に評価をしてもらって、恒常的に修正を加えるなど、教育の質強化に努めている。
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日本理解の一助として位置づけられるホームステイ
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交換留学に限らず、留学生受け入れを成功させるためには、質の高い教育の提供は欠かせない。しかし、山本部長は「教学面がうまくいってもそれだけでは不十分で、生活面のサポートをどうしていくかが2番目の問題になる」と話す。
同大学では現在、受け入れ留学生の60～70％がホームステイ・プログラムに参加している。短期留学生が中心ではあっても4カ月または9カ月間におよぶ受け入れ家庭を確保するのは一苦労である。しかも、夜中であっても何か問題が起きれば、職員が解決に走り回らなければならない。時間も、手間も非常にかかるプログラムである。
だが「授業で得られるものが日本の文化、経済、歴史などの概念的な知識であるとすれば、ホームステイではそれを実践の中で、肌で感じて学んでいけるものだと考えています」と山本部長はプログラムの意義を説明する。ホームステイとは単なる宿舎や寮の代替品ではなく、日本理解の一端として位置づけられ、留学生を取り込む重要な戦略の一環となっている。
とはいえ、中にはホームステイを好まない留学生もいる。特にヨーロッパからの留学生は25～27歳と比較的年齢層が高いこともあり、プライバシーの面からも他人の家族と生活を共にすることには抵抗感を示す者もいる。
その場合は寮で暮らすことになるが、寮生活でも日本人学生との交流を促し、日本の文化を理解する機会を提供するためのプログラムが用意されている。例えば、週末や休日に留学生を日本人学生の自宅に招待するホームビジット・プログラム、日本人学生が留学生の日本語学習をサポートし、交流を深めるスピーキング・パートナー・プログラム、学生主体で料理やフィールドトリップなどの交流イベントを行うエクスペリエンス・ジャパン・プログラム、日本人学生がルームメイトとなって互いの語学学習を助け合い、新しい価値観や生活習慣を学ぶルームメイトプログラムなどだ。
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国際交流には資質を備えた専門職員を
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同大学の国際交流部の職員は13人。受け入れ留学生数と送り出す学生の数を考えれば、決して多くない。この人数で対応できるのは、専門の職員で組織されているからだ。
通常、大学職員は一定期間ごとにさまざまな部署をローテーションすることが多い。しかし、同大学では国際交流部が職員を独自に採用し、異動もない。スペシャリストとしての知識や技能が磨かれていくのだ。
「どれだけ教学面が充実していても、日常生活での支援が不十分なために不快な気分にさせるようだと国際交流もうまくいきません。友達は別として、留学生にとっては大学が唯一の頼り。だから、困ったときに大学がどこまでケアできるかが重要で、本当に留学してよかったと思わせることがポイントになります」と山本部長は言う。
そこで、担当職員に求められるのが、「語学を含めた専門的知識」と「ボランティア精神」の二つの資質だと山本部長は指摘する。とくにボランティア精神は200人からの留学生をホームステイさせる上で不可欠だという。ホームステイの受け入れ家庭は吟味され、留学生からは希望する家族構成や喫煙の可否、ペットの好き嫌いに至るまでの詳細な要望事項を調査し、それにもとづいて入念にマッチングが行われる。それでもいつなんどき問題が起きるかわからない。その場合に、損得勘定抜きで業務時間外でも速やかに対応するようなボランティア精神がなくては、トラブルに対応できるものではないという。
今後の国際交流の方向性については、山本部長は「今後10年以内に3000人近くまで双方向交流の規模を拡大したい」と抱負を語った。
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