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国士舘大学に今年度開設された21世紀アジア学部では、511人の学生中122人をアジアからの留学生が占める。試行錯誤で留学生支援に取り組む中で見えてきたのは、「教育に対する満足度をいかに向上させるか」「留学生ひとくくりではなく、どれだけ個別の対応ができるか」などの課題だという。
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教員のネットワークで募集活動
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21世紀アジア学部21世紀アジア学科は、政治・経済、言語、伝統文化、暮らし、信仰など総合的な視点からアジアを理解し、国際化が進展する中で活躍できる人材の育成を目指す。秋季入学の20人を含む122人の留学生の多くは、梶原景昭学部長ら教員陣のアジアにおける研究者ネットワークを駆使して集められた。同学部長は、新設学部のPRの難しさを認めつつ、「これまでに培われた信頼関係で留学希望者に声をかけてくれる人も多い」と説明する。
留学生の出身は、それぞれ全体の半数以上と二十数％を占める中国と韓国をはじめ、台湾、極東ロシア、モンゴル、ベトナム、タイ、インドネシア、ネパール、ウズベキスタンなど15カ国・地域にわたる。入試は日本のほか、これら15のほぼ全ての国と地域で実施、面接と日本語の小論文を課した。志望理由では、「日本語を使ってビジネスを始めたい」という者が最も多いが、「とにかく日本文化を理解したい。将来のことは後で考える」という者も目立つという。
留学生の相談に乗る担当教員は6人。うち4人が中国人、韓国人などの外国人だ。同学部では1年次からゼミがあるため、「基本的には全教員が留学生担当」との周知を図っている。一方の職員は、全学の留学生に対応する国際交流センターのスタッフに加え、学部にも、留学生担当として中国人と韓国留学経験者1人ずつを嘱託で置いている。梶原学部長は、「将来的には専任職員が4人は必要」と考えている。対人関係の悩みなど問題が複雑な場合には、全学生対象のカウンセリング室の範疇になり、国際交流センターと連携して留学生に対応する。ここでも、中国語などを理解できるカウンセラーの必要性を指摘する。
これら人員面の課題については中・長期の計画の中で解決していく方針だが、すぐできることには柔軟に対応している。民間アパートを借り上げた専用寮が駅から遠いとの声を受け、学部が自転車20台を用意したのもその一例だ。
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年度途中で教科書を見直す
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異文化の中でさまざまな問題に遭遇する留学生にとって、一番の関心事はやはり教育内容の充実だと同学部長は指摘する。「コスト意識が高く、日本人学生の私語で授業が邪魔されると本気で怒ります」。それが顕著に表れるのが、週4回の日本語の授業だという。教科書が以前通った日本語学校と同じものだったりすると、「授業料を払う意味がない」と異議を唱える学生も。それぞれ学習履歴が異なり能力にも差がある以上、習熟度別の5クラスに分けている同学部であっても、こうした申し立てにまで応えるのは難しいはずだ。
それでも同学部では、年度途中でありながら「できる限り個別の対応に変えていく」との方針を打ち出した。習熟度別クラスの中でさらに、個別の能力や事情に配慮しようというのだ。使ったことのある教科書やその感想をヒアリングし、学習歴を記録したカルテを作成。これにもとづき、一部オリジナルも加えて教科書を切り替えた。カルテには趣味などのデータも載せており、今後は生活面のサポートにも活用する予定だ。
「これは日本人学生も同じですが、大切な顧客に、一番重要な授業のことで来年度まで待てと言うわけにはいかない」と同学部長。日本への留学志望者にとって、口コミでの情報が大学選びの重要な判断材料になることも念頭にある。また、「留学生をひとくくりで扱うことには無理がある」という指摘も、日本の大学生全体が多様化している現状を正面から受け止めた上での認識なのだろう。
「留学生を日本人学生と区別して扱っているうちは、まだまだだと思っています。留学生に提供すべきサービスなら、一般学生にも必要なはず。そういう発想で、大学全体として学生満足度を高める必要性を痛感しています」。初年度は一部依頼した留学生募集の仲介業者も、今後は使わない方針だ。梶原学部長の考えは、「愚直だが、現地を歩いて一人ずつ集め、受け入れた後も一対一のきめ細かい対応をしたい」と明快だ。
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