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日本語学校の認定から就学生の生活指導などを実施
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文化庁の調査によると、2002年11月1日現在、日本国内で日本語教育を行う機関・施設は1590を数える。このうち、日本の大学などの高等教育機関への進学を希望する外国人を主な入学対象者とする日本語学校として、（財）日本語教育振興協会（以下、日振協）が認定する327校があり、約3万4千人が学んでいる。
日振協はこうした日本語学校の認定の他、就学生の受け入れ促進のための留学フェア実施などの広報活動、日本語教材の研究・開発、研修会の開催、就学生に対する生活指導など、日本語教育施設の向上に向けた事業に取り組んでいる。
日本語学校の現状と大学との連携について、理事長の佐藤次郎氏に話を聞いた。
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不法就労にもつながる入学許可問題
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日振協の設立は89年。改革開放政策を打ち出した中国からの留学生・就学生が急増した当時のことである。
「日本語学校での就学を目的とした渡日者は、学校の入学許可に加えて、就学ビザを取得しなければなりません。しかし、就学希望者の急増によって、入学許可を得ていながらビザが発給されないケースが多発し、特に中国との間で、外交問題にも発展しかねない状況にありました」と佐藤理事長は言う。
日振協は、こういったトラブルを未然に防ぎ、外国の若者が安心して日本語教育を受けられる体制を整備するために設立された。
80年代後半は日本経済が好調を極めた時期でもある。就労を目的として就学ビザを得る外国人も少なくなく、不法労働者の増加につながることも指摘された。日振協の設立に、文部科学省の他、外務省、法務省がかかわっているのは、日本語学校の入学許可が単に教育体制の整備だけでは解決し得ない問題をはらんでいたことを物語る。
日振協が認定する施設はいずれも、年間760時間以上の授業を行うこと、1クラス20人以内であることなどの基準をクリアした施設である。
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就学希望者と面接し、意欲や経済力を確認
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これらの施設では、就学生受け入れに際して、学校側が現地に赴き、面接によって留学の意欲や資質、それに学費負担などにかかわる経済力の確認などを行っているという。
「就学生・留学生の受け入れには、各国の教育制度や入国管理についての専門知識が必要です。それに、偽造書類が提出されることもあり得るため、それを審査する必要もある。日本語学校への就学、さらには進学の意思とその目的をしっかりと確認した上でないと、入学許可を与えることはできません。そのためには、入学希望者と直接会って面接する必要があります」（佐藤理事長）
在籍管理の適切な認定校が入学を許可した就学生の入管審査については、00年1月からかなり簡素化されている。また、認定校は、就学生の入国後にもかなりまめな対応を心がけているという。
「到着時に、空港で出迎えるのも日本語学校の教職員の役割です。なにしろ、日本語もほとんど話せないまま、文化や風習が違う異国に来るわけですから。もちろん、住居の斡旋や、病気の際などの対応にも配慮しなければなりません。日本語学校は、単に外国人に日本語を教えるだけでなく、いわば保証人・保護者としての役割を担うわけです」
日振協の認定する日本語学校に在籍する学生を対象にした01年度学生生活実態調査によれば、来日前に日本語を学習した学生が83.2％を占め、そのうち母国の日本語学校で勉強したという者が、37.9％と最も多い。また、日本の高等教育機関への進学を希望する在籍者は83.5％。各日本語学校では、これらの進路指導や受験指導も行う（図表）。
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日本人学生と同様な入学試験の配慮を
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本年6月に第1回日本留学試験が実施された。これまで日本への留学希望者は、日本語能力試験、私費外国人留学生統一試験、さらに大学によっては大学独自の入学試験を課せられるなど、大きな負担を強いられていた。日本留学試験は、こうした負担の軽減に加え、日本国外での実施により渡日前の入学許可を可能にする。出題科目は、日本語・理科・総合科目・数学で、受験者はこの中から大学が学部・学科ごとに指定する科目を受験。大学は、試験を実施する日本国際教育協会が通知する成績により、合否を決定する。
日振協では、プロジェクトを組んで、日本留学試験のシラバスに対応した教材開発に取り組んでいる。
「来年の4月に入学する場合でも、6月の試験のみで判定を行う大学も見受けられます。また、国立大学を中心に、大学によってはTOEFLのスコアを要求するケースもあります。日本留学試験に加え、TOEFLまでも受験するとなると、受験料負担や受験地の問題が生じます。しかもTOEFLのCBT方式（コンピュータベースの受験）の試験会場については、東京、横浜、大阪の3都市に限られており、地方の学生にとっては大きな負担となっています」
9月10日現在、日本留学試験の利用を表明しているのは大学342校、短大95校。第2回試験はこの11月17日に行われることになっており、すでに願書の受け付けは締め切られている。ところが、大学8校、短大7校の試験科目は、まだ発表されていないという（02年9月26日現在）。
「こうした対応は、対象が日本人受験生だとしたら考えられないことです。TOEFLについても同様で、日本人の大学受験生に要求している大学はほとんどないのでは」と佐藤理事長は指摘する。
第1回日本留学試験の国外受験者は532人。留学生の半数以上を占める中国での実施がまだ決まっていないことなど課題も残っており、今後、大学側の対応とともに、試験制度自体の整備が期待される。
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日本語学校での評価を入学の基準に
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日振協では、こうした課題についてJAFSAや大学の関係者と協議を行い、日本語学校との緊密な連携を図っている。「多くの大学では留学生の合格発表が秋に行われるため、日本語学校の就学生は4月の入学までの期間、勉強に身が入らなくなってしまうのです。すでに一部の大学では行われているようですが、合格から入学までの過ごし方を指導するなどの支援をしてもいいのではないでしょうか。留学を認めるのは大学なのですから」
また、佐藤理事長は、就学生の学習意欲向上のためにも、大学が、入学者の選抜の際、日本語学校での成績や出席状況を合否の判定材料に用いることも必要と言う。「これは、日本語学校に在籍する期間だけでなく、大学進学後の意欲にもかかわり、ひいては大学の質的向上を促すものと考えます」
佐藤理事長は一貫して、望まれるのは留学生に対する配慮だと指摘する。こういった取り組みを大学が実践するなら、留学生を送り出す日本語学校はもとより、広く、留学生の母国に対するアピールにもつながるのではないだろうか。
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