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所沢キャンパスの繁栄と資源活用も視野に
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人間科学部は開設当初から「スポーツの早稲田＝スポーツ科学科」の印象が強かったと、野嶋栄一郎学部長は振り返る。「当時は『人間科学』という言葉の定義そのものや、人間基礎科学科と人間健康学科の違いがわからないという外部からの指摘もありました。また、基礎科学科では基礎を、健康学科では応用を学ぶ。基礎と応用という従来の学問の枠組みにとらわれた構成であったといえます。学部再編には、こうした伝統的枠組みを打ち破り、幅広い分野、そして社会から問題解決の手法を学ぶという狙いがありました」
一方、スポーツ科学科は15年の歴史の中で、筑波大学の体育科学系学部と並び称される教育研究レベルの高さを自負し、学部昇格への自信を強めていった。
人間科学部・スポーツ科学部が置かれる所沢キャンパスは敷地面積約11万坪。陸上競技場や日本水泳連盟公認の競技用屋内プールを有するアクアアリーナなどのスポーツ施設を持つ。こうした資源の活用と所沢キャンパスの繁栄も大学全体が描くビジョンの一つであったという。
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フィールドワークを主軸にしたカリキュラム編成の人間科学部
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「学部再編にあたり、まず教員に最新の研究テーマをあげてもらい、他の教員のテーマとどうリンクするのかを探りました。その方向性には共通項があり、環境、健康福祉、情報という3分野に分けられた。生命科学を中心とすべきという議論もありましたが、大学全体の再編時期でもあったため、その分野の教員は理工学部のグループにシフトした」と野嶋学部長。
3学科設置に関し、全学科の名称を明確にし、各学科で資格が取得できる教育内容とするなど、志願者の意識に配慮した。
カリキュラムのコアはフィールドワークにある。「活字だけの知識を窓口とせず、フィールド、つまり社会に出たところからスタートする」（野嶋学部長）。全学科が演習を中心としたカリキュラムで、フィールドワークに必要な方法論習得のため、1年次の実験調査研究法を必修とした（図表1）。
また、ホームルーム的な役割も持つ基礎演習科目として、1年次の前期に情報処理の基礎、図書館検索の仕方、エッセーの書き方などを学ぶ。この中にはキャリアセンターの就職ガイダンスも授業として取り入れた。
学科を超えた科目の履修も可能とし、一定の条件を満たせば所属学科の分野以外のテーマでの卒業論文提出も認める方針だ。
人間環境科学科は、人間をとりまくものは全て環境であるという前提に立ち、自然だけでなく、社会、文化といった人工環境も研究対象とする。「当学科では、既成の学問でいうなら、心理学、社会学、文化人類学、民族学、考古学、生態学など、人工環境を扱う建築学など幅広い分野を学ぶことになる。視野の広さは確実に養われていくだろうし、その上で専門性も獲得できるわけです」と人間科学部の谷川章雄教務主任は言う。
健康福祉科学科では、人間科学部が従来重きを置いていた臨床心理学を一つの核としながら、医学、生理学など自然科学的な方法論で人間のしくみを学ぶ。これにあたり、社会科学部、文学部、政経学部からも福祉を専門とする教員を異動させる。さらに現役の医師のほか、厚生労働省の福祉政策担当者や大手電気メーカーの福祉工学のマーケティング担当者などを教員として新規採用する。「政策や産業の面からも福祉をとらえ、福祉政策や環境をデザインする人材を育てたい」と野嶋学部長。
人間情報科学科では、認知工学、コミュニケーション科学、教育工学など情報科学を網羅した上で、コンテンツ制作などの実務を学ぶ。
その核となるのは、『遠隔教育』だ。人間科学部に設置される通信教育課程は、eラーニングを中心とした教育を行う予定だが、この課程をバックアップするのが人間情報科学科なのだ。通信教育課程で用いる授業コンテンツを常に同学科の授業にフィードバックし、問題解決の理論とその手法を学ぶ。より実践的な教育を行いながら、学科、通信課程それぞれが教育内容のブラッシュアップを図ることができるわけだ。
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メンターを活用した遠隔教育
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通信教育課程のカリキュラムは基本的に通学制のものと同様とし、授業はインターネット配信により実施される。実験・実習を伴う科目や体育実技などはスクーリングを行うが、大半の科目はオンデマンド型で履修できる。また、BBSを使用したディスカッションや質疑応答も重視している。こうしたリアルタイムのやりとりには、「教育コーチ」が対応する。これは、修士課程修了以上の人材で教育を補助するいわゆるメンターを指し、博士課程の学生などにとっては、教育現場に参画することにより自ら学ぶことができ、経済的な支援にも繋がるというメリットがある。
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スポーツ科学部ではスポーツ人口増加と国際化に対応
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「高齢化社会を前に、自分自身の健康維持や体力向上に目覚めたり、生活の質向上のためにスポーツを取り入れようとする人が増えています。また、昨年のサッカーのワールドカップ開催により、不況下であってもスポーツによる経済的効果は高いという認識が出てきました。これに関連したビジネスが活発化するという社会の動きに対応しました」と、人間科学部スポーツ科学科の村岡功教務主任は学部昇格への背景を語る。
スポーツ科学部は、医科学や生理学といった自然科学系の領域でスポーツを学ぶスポーツ医科学科、スポーツ文化の継承と発展を目的に、社会学や心理学、教育学などの人文・社会科学系の領域を学ぶスポーツ文化学科を設置。両学科とも2年次からコース選択制とし、スポーツトレーナーやスポーツジャーナリストなどの育成を目指した実学指導を行う（図表2）。
また、オレゴン州立大学システムとオーストラリアのアデレード大学との提携により、海外プログラムを実施し、英語実習およびキャンプや山登り、ウォーキングなどの野外活動実習を行う。これは、英語科目の単位として認定する予定だ。
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教員採用と入試改革
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スポーツ科学部の教員は約45人を予定しているが、完成年度まで講義する教員は約半数。現役の医師7人をはじめ、スポーツビジネスの実践者や著名なスポーツトレーナーなど実社会で活躍する人材約20人を、出身大学に関係なく新規採用した。
人間科学部では構成員80人のうち、約3割を新規採用する。「本学は早稲田出身の教員が多いと言われていましたが、この改編にあたり、学部間の異動や新規採用を含め、完成年度を目指した大幅な教員の入れ替えを行います」と、野嶋学部長。従来、退職する教員の後任には、同じ研究分野から採用することが多かったが、学部再編にあたり、最も有用な人材の登用を重視した人選を行った。
人間科学部では、一般入試を04年度から大幅に変更する。選択科目の指定により文系と理系の人数枠を設定する。また、TOEICのスコア提出により語学テストを免除。さらに、1年次の語学科目の履修を免除する「授業免除制度」の導入も検討している。
スポーツ科学部の一般入試は、外国語科目を英語のみとする他は従来のスポーツ科学科の入試と変更点はない。
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