特集 満足度を高める学生支援
東海大学
Betweenは(株)進研アドが発刊する情報誌です。
   24/26 前へ次へ


 さらに、相談に来る学生の傾向は二極化していると曽田室長は分析する。一つは保護者の経済状態をよく把握し、学費負担などに対して感謝の意を持っており、アルバイトや奨学金の相談に来る学生。これとは対照的に少子化で過保護に育てられたためか、自分自身の力で何かの行動を起こす力や、我慢強く物事をとらえる力が不足している学生も少なくない。
 さらに、学生という身分ではあるが、自分が「社会の一員である」という自覚を本人も、時として保護者も持っていないケースもあるという。また、法律に関する認識が十分でないため、相談件数は少ないが、契約がらみの悪徳商法に関わり、トラブルに巻き込まれる学生も増えているという。
 CLICでは、こうした相談内容のデータに基づいた情報発信も行っている。学生が巻き込まれやすいトラブルへの対応策や、サポート情報をまとめた冊子「CLIC NAVI」を発行。東海大学の学生が加入する学生健康保険互助組合や契約のクーリングオフ制度なども取り上げた。また、保護者向けに学生生活支援室の取り組みや相談内容とそれへの対応をQ&A方式でまとめた冊子「CLIC相談対応事例集」を発行し、無料送付している。
学生モニター組織をつくり改善策立案につなげる
 02年10月から、月2回、昼休みの30分を利用し、「CLICクイック講座」を開講している。テーマは相談内容を参考に、特に学生の関心が高かったものをピックアップし、講師はテーマごとに専門の教職員が務める(図表3)。
 ミニ講座は学生だけでなく、教職員も受講し、他部署の業務のヒントにもなっていると曽田室長は言う。02年6月に行った講座「後悔しないための就職活動」は1・2年生を中心に60人が受講した。「CLICの誰でも入りやすい雰囲気と、30分という気軽な講義が功を奏したのか、どの講座も好評を得ています」
 今後は、これまで各部署が個別に行っていた学生調査を集約して実施する方針で、04年度4月から200〜300人程度の学生モニター制度をつくり、キャンパスライフについての調査を行う予定だ。第1回の調査は、湘南キャンパスの整備を目的とし、今秋から試験的に調査を開始した。「他部署とも連携して学内施設の改善を進めていきたいと思っています。これからの大学は、学科の内容や資格が取得できるなどの学業面だけではなく、面倒見の良さ、充実した学生生活へのサポートも魅力の一つになっていくのではないでしょうか」
このページの先頭へもどる
   24/26 前へ次へ
 
本誌掲載の記事、写真の無断複写、複製、および転載を禁じます。
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.