寄稿
Webサイトで大学が透けて見える ―大学を評価する新しいメディア― |
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私達の研究プロジェクトでは、毎年日本の4年制大学のWebサイトを全校調査している。これは、1997年度以来、産能大学、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)等の学生と共に行っているもので、毎年、しかも全校を対象としている研究は他に例がない。03年度の調査も、03年12月から04年1月にかけて実施中である。本稿では、今までの調査結果を踏まえ、最近の動向を中心に大学Webサイトの変容について述べると共に、これからのサイトのあり方やコンセプトを考察する。
1. 大学Webサイトは大学の情報公開媒体に
まず我々は、今や大学Webサイトが大学の情報公開媒体になった点を認識すべきであろう。
■認識すべき点1 大学全校がWebサイトを持つようになった
01年度にはサイトを持っていなかった大学が1校あったが、02年度にはついに全715校がサイトを持つようになった。03年度は現在調査中であるが、新設校、国立の合併校も含め、全校がサイトを持っていることを確認しつつある。これは、今や、大学にサイトがあるかないかではなく、そのコンテンツ(中身)が評価される時代に入ったことを意味するだろう。
■認識すべき点2 受験生の大部分がWebサイトにアクセスする
最近は、インターネットで電子メールを打ったり、サイトを見る高校生が急増している。調査によって若干の幅はあるが、インターネットの世帯普及率も6割を越えていることは間違いない。また、何よりほとんどの高校でサイトを見られるようになったので、大学進学を目指す受験生や保護者の多くは大学情報を入手するためにサイトを利用し始めたはずである。
■認識すべき点3 Webサイトが情報公開媒体として公的に認知された
図表を見ていただきたい。これは、文部科学省のサイトに公開されている「学校法人の財務状況の公開に関する各種提言」の一覧である。インターネットが広報媒体として明確に言及されている。
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図表 「学校法人の財務状況の公開に関する各種提言」 |
ここでは財務状況に関する情報公開媒体として書かれているが、今後は財務にとどまらず、あらゆる情報公開の媒体として見られることは疑いない。その時、大学のWebサイトは、企業の有価証券報告書と同様の位置づけとなるだろう。すなわち、活動報告の媒体として、学長の教育方針からシラバス、受験情報、就職実績、法人の財務状況、教員の研究業績等々まで、あらゆる情報を「タイムリー」に載せることを事実上期待されるのである。
ちなみに、04年4月の国立大学法人化以降は、国(公)立大学の情報公開が公的に強く求められるはずだ。無味乾燥としたものが多い国立大学のサイトも変わってくるに違いない。私立大学のサイトには、今以上に国立とは異なる魅力が求められることになるだろう。
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