ベネッセ教育総合研究所
特集 大学広報の今、これから
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2. Webサイトで大学の姿勢が分かる

 では、現在の状況はどうなっているだろうか。我々の02年度調査を基に、何点かを指摘しよう。

■入試情報が満載
 99%の大学が入試情報をサイトに載せている。入試日程、入試方法、募集定員等は95%前後の大学が掲載している。資料請求先は82%、問い合わせ先は71%の大学が明示している。電子メールで問い合わせが可能なのは71%、またオンラインで資料請求できるところは85%。過去の入試データは46%の大学が公開している一方で、出願状況は16%、合格発表は16%の大学のみが公開。過去問を載せているのはわずか11%だけである。受験生をひきつけたいのなら、それ相応の工夫と決断が要るはずだ。

■シラバスを公開している大学は約3割
 文部科学省によれば9割近くの大学がシラバスを作成しているはずだが、サイトで公開しているのは3割のみである。受験生や保護者、高校の進学指導の先生が、どんな教育内容なのかを知りたくても、これでは情報を簡単に入手できない。また、シラバスと称していても、単に科目名と簡単な解説しか載せていないところも多い。これでは、中身の分からない商品を買えと言っているようなものだ。掲載しないこと自体、内容が貧困であるという疑いをもたれかねない点に、大学は気を配るべきなのである。

■半数強の大学に外国語ページ
 ほとんどの大学が国際性をうたっているにもかかわらず、外国語ページを持っている大学は55%にとどまっている。そのすべてが英語ページなのだが、さらに中国語31校、韓国語22校、台湾語10校(重複あり)がある。ただし、たとえ英語のページを持っていても、英語でかなり詳しく情報を出しているところから、単に簡単な大学紹介のみのところまで、その内容には大きなバラツキがある。留学生を獲得したければ、それなりの努力をしなければならない。

■お粗末な公開講座情報
 9割以上の大学が公開講座を開催しているといわれているが、サイトを通じて情報提供をしているのは66%。概要をしっかり載せているのは46%しかない。ましてやサイトを通じて申し込みができるところは、なんと17%にとどまっている。大学の地域社会への貢献の実態を垣間見るような悲しい数字である。

■必須項目群と重要項目群
 ほとんどの大学が載せている情報を「必須項目」と呼ぶならば、それは「入試情報」「学部・学科情報」「アクセスガイド」「問い合わせ手段(電話・メールなど)」「資料請求手段(電話・メールなど)」等である。これらは9割以上の大学のサイトに掲載されている。これらの情報を載せていないこと自体が問題視されても仕方がない。
 最近大きく伸びている項目は何か。それは「Web上での資料請求」と「卒業生向け情報」である。前者はサイトを見ている人へ、インターネットのインタラクティブ性を活用したサービス向上を意味する。逆に、これがないこと自体が遅れているという評価になりかねない。後者は、00年度には25%だったのが、02年度には52%と急増している。今後の大学の姿勢を示すものであり、かつ経営戦略上卒業生の「囲い込み」が意味を持つ時代になったともいえるだろう。



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