ベネッセ教育総合研究所
特集 大学広報の今、これから
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4. Webサイトのコンセプトは進化する

 最後に、大学Webサイトのコンセプトの変化について、把握すべき点を指摘しておきたい。
 企業のWebサイトは、当初「広報・広告媒体」であった。第二段階は「コミュニケーションの窓口」である。多くの企業サイトは現在この段階である。しかし、第三段階も出現している。先端企業等は、「インタラクティブ性を生かした、関係者間の交流プラットフォーム」として活用を始めている。一般化すれば次のようになるだろう。
[レベル0]単なる紙の替わり
[レベル1]告知メディア(一方的な広報媒体)
[レベル2]情報のやりとりをするインターフェイス
[レベル3]関係者の交流プラットフォーム
 ほとんどの大学のWebサイトのコンセプトは、まだレベル1の「告知メディア」の域にとどまっている。しかも、残念なことに、現時点ではまだ告知メディアとしても不充分なところが少なくない。中にはレベル0の大学もないわけではない。
 一部の熱心な大学がレベル2を目指しているとはいえ、まだ少数である。レベル3は皆無に等しい。
 もはやサイトは単なる紙媒体(大学案内等)の代替品でも補完品でもなく、それらの媒体と相乗的な関係を持つべきものになってきている。つまり、大学はサイトと他媒体の「メディアミックス」を検討すべき段階になったと言えるだろう。
 サイトの対象者は拡がりつつある。当初一般への広報として始まったWebサイトは、すぐに受験生対象へと変わった。この流れに伴い保護者や日本への留学希望者も対象になった。さらに在校生や教職員への掲示板になりつつある(主としてイントラネット)。また、卒業生向けのページで卒業生の「囲い込み」を始めたところも多い。今後は、企業(就職、産学連携)や一般市民(公開講座等)との交流媒体にもなっていくことは間違いない。要するに、大学のWebサイトのコンセプトは進化しているのである。
 いずれにせよ、サイトは大学評価の対象となった。一つは大学の活動を反映する「鏡」として、もう一つは大学の改革を育む「器」として。「Webサイトは大学改革のバロメーター」なのである。関係者の奮闘を期待したい。



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